東海自然歩道 その64
     -愛知県巣山から静岡県熊(くんま)の里まで-

2019年10月24日(木) 曇り時々小雨

 前回の5月30日は初夏の猛暑に出くわして蓬莱寺山でとても苦労しました。何とか無事に下山して、湯谷温泉で風呂に浸かってもその疲れは取れませんでした。自宅に帰ってからは、猛烈な足のだるさに悩まされました。かかりつけの先生は、「熱射病」との診断でしたが、疲労困憊した体を持て余して、家の中をウロウロしていました。幸い1週間ほどで何とか足のだるさも消えてきました。6月になり暑さが更に加わり、テレビでは「熱射病に注意」とさかんに繰り返すようになりました。すっかりビビってしまって、足慣らしに歩く距離も少なくなりました。それに加えてクルーズ船に乗ってラクチンに過ごし、せいぜいゴルフで歩く程度で、あっという間に6月からの4か月が過ぎてしまいました。涼しくなってきたので試しに10キロ以上歩いてみたりして、足の具合を確かめてみました。その結果、どうやら大丈夫そうだと判断して今回の挑戦になったのでした。
 天気予報は微妙だったのですが、前日に決行と決めたので新幹線の予約を取って、持参する装備品を点検して、当日の朝になりました。起きてみると雨がザンザカ降っていました。それでもテレビの天気予報では名古屋は曇りとなっており、昨日と変わりがなかったので一安心しました。6時過ぎに家を出て雨に濡れながら駅まで歩いて行きました。新大阪午前7時16分発のひかり508号で豊橋までは1時間半かかりました。途中米原を過ぎると雨が止んできました。飯田線の豊橋発9時8分の鈍行に乗って本長篠に着いたのは10時28分でした。10分の乗り継ぎで新城市営のSバス(マイクロバス、料金200円)に40分乗って、桐久保というバス停に降り立ちました。乗客は私一人で、40分走って200円は誠に申し訳ない気持ちになりました。ここまで家を出てから5時間かかりました。前回終了した地点の秋葉ゴルフ倶楽部入り口です。


 飯田線本長篠駅

 六本松の集落              愛知・静岡 県境

 曇り空の中を、飲み物とお結びで重くなったリュックを背負って、いよいよ出発です。暫くは舗装道路を歩いて行くので足元は安心です。気温は18℃と快適です。20分ほど歩くと夏明橋の三叉路に到着しました。そこから暫く行くと百間滝という滝に入る道がありましたが、土砂崩れで通行止めになっていました。最近の台風や大雨の傷跡でしょう。さらに進んで、11時45分に六本松の集落に入りました。丁度昼になったのでここで「お結びタイム」、軒下をお借りして15分休憩しました。ここまで40分で2.5キロと順調な出足です。再出発すると、結構な上り坂が続いていました。道標には「500メートルで静岡県境」と出ていました。30分登って、12時35分に、ついに愛知・静岡県境に到着しました。出発から1時間半、4.2キロでした。大阪から数えて8番目の県で、残すはあと3つとなりました。


 時代劇の雰囲気             静岡県の道標

 くんま水車の里             道の駅は定休日

 静岡県に入って、鳶の巣山山麓の舗装していない林道を歩いていると、まるで時代劇の中を歩いているような気分になりました。曲がり角の向こうから眠狂四郎が黒の着流しに深編笠で歩いて来るような、そんな雰囲気の山道でした。13時に休憩、5.5キロ地点でした。雨上がりの道にはあちこちに沢蟹が這っています。ここから先は寺平という集落を過ぎたら、あとは一路熊(くんま)の集落に向かって川沿いに歩いて行くだけです。途中から小雨が降ってきましたが、際どいところで本降りになるのを踏みとどまっています。14時30分に道の駅「くんま水車の里」に到着しました。10.7キロの距離をほぼ予定通りに歩くことができました。バスは16時15分発なのでここでゆっくりするつもりでしたが、なんと道の駅は定休日でした。「道の駅で何か食べ物を買って缶ビールを飲む」という夢ははかなく消えてしまいました。山間の集落なので、道の駅以外に商店・食堂はありません。軒下で降り始めた雨をよけて、カロリーメイトを齧るというみじめなことになりました。
 朝乗ったバスは新城市営バスの「秋葉七滝線」で、1乗車200円のマイクロバスでした。ここからの帰りは「自主運行バス北遠本線」で遠州鉄道の西鹿島駅まで行くことになります。このバスは完全予約制で、当日は2時間前までに電話することになっています。地方自治体が交通機関の維持に苦慮していることがよくわかります。幸いにも今の時代はインターネットでこれらの情報をあらかじめ知ることができますが、「それにしてもバスを予約するのに市役所のホームページから入る」のは、外部の人にはわかりにくいことです。予約通りの16時15分に「北遠本線」のマイクロバスが来て、ここから西鹿島駅までは40分でした。料金は600円で、乗客は途中で増えて3人になりました。17時発の電車で新浜松まで32分、そこでJR浜松駅まで歩いて新幹線に乗り換えです。朝降りた豊橋から新幹線の駅が二つ東京に近づきました。17時55分発のこだまで新大阪に着いたのは午後8時前でした。大阪は雨が降っていました。
     (累計1041.8キロ/1700)