「北海道周遊とサハリン」クルーズの旅 その1
-横浜出航-
2019年7月11日から19日までの8泊9日で全行程3600キロの客船クルーズの旅に行ってきました。初めて客船に乗って旅をしたのは、今から45年も前の地中海でした。当時イギリスの片田舎に住んでいて、仲間二人と息抜きに「地中海クルーズ」に出かけて行ったのでした。英国のマンチェスターの飛行場からおんぼろチャーター旅客機でフランスのニースまで飛んで、そこからバスでカンヌに移動して、沖合に停泊していた巨大な客船に乗ったのを覚えています。船はバルセロナ、マジョルカ島、マラガ、アフリカのアルジェ、イタリアのシシリー島パレルモ、ナポリを廻ってカンヌに戻る豪華な旅程で、この船はギリシャの世界的に有名な大富豪オナシス所有のものでした。その時客船に乗っていた乗員、乗客のうち日本人は我々3人だけでした。それから20年ほどして、友達が日本郵船にいて、「飛鳥」乗船を薦められたので、2泊3日で横浜から小樽まで乗せてもらいました。その次が、数年前にアマゾン川で娘と一緒に豪華客船イベロスターに乗った、4泊のアマゾン・クルーズでした。つまり今回が4度目の客船の旅になった訳ですが、やっと日本にも客船の旅をする人が増えてきて、客集めに苦労することは無くなったようです。
さて、今回の船旅のきっかけは、知り合いに電話をしていたときに、「北海道を船で廻ってきた」と聞いたことでした。釧路から樺太にも寄って、小樽、函館を廻ると聞けば乗り気になります。昔飛行機に乗っていた頃に、アメリカ東海岸から成田へのルートで最も北を飛ぶのが通称「カムチャッカ・ルート」でした。カナダからアラスカ、シベリア、カムチャッカ半島から樺太の東を飛んで、オホーツク海から紋別、旭川に出るルートでした。船はこのルートの真下を航海することになるのです。それともう一つの理由は、いつもアラスカのアンカレッジに行った時にお世話になるシゲ子さんは樺太生まれなので、彼女のふるさとの地を一度見てみたいと考えていたことでした。今年になって、「ダイヤモンド・プリンセス」の一番安い船室を予約しました。一人で行くのは不安なので友人のよし子さんに同行してもらいました。
7月11日の朝8時半発の新幹線で新横浜に向かいました。新横浜へは10時45分に着いて、地下鉄ブルーラインで関内まで行き、中華街まで歩きました。旅のスタートの景気づけに中華街で昼ご飯を食べようと、大きな店構えの中華料理屋に入り飲茶を食べました。はっきり言って、旨くありませんでした。早々に引き上げて山下公園まで歩いて行きました。山下公園の氷川丸のあたりから大桟橋を見ると、巨大な船が見えました。ダイヤモンド・プリンセス11万5千875トン、長崎の三菱造船で造られ2004年に就航した英国船籍の客船です。その船が停泊している横浜港大さん橋国際旅客ターミナルに向かって歩いて行きました。午後2時頃に旅客ターミナルに着いて中に入ると、乗船客でごった返していました。あらかじめ乗船時間が指定されているのですが、それまで椅子に座って待つことになりました。
順番が来て乗船しましたが、入り口では名前を確認してクルーズ・カードというカードが一人ずつ配られます。船内の支払いは全てこれで行い、最後に合計してクレジット・カードで支払うという便利なシステムです。クルーズ・カードを首にぶら下げて船室へ行きました。予約は一番安い船室でしたが、旅行会社から連絡があって2ランク上の船室に変更されていました。ツインベッドのホテルの部屋より少し狭いけれども、バルコニーもついています。船全体は15階建てと考えてよく、船室はその10階部分です。長さ300メートル以上ある船にはエレベーター・ホールが3つあってそれぞれ4基のエレベーターがついています。6階と7階がメインデッキになっているようです。部屋の入り口まで宅配便で届けられた荷物を運びこんで整理整頓しているうちに、4時過ぎから「乗客全員参加の避難訓練をやるので集合」という案内がありました。これが終わらないのと出港できないということです。広いラウンジに集まって、救命胴衣の使い方や注意事項を約15分聞いて無事終了しました。まったく揺れないので船がどうなっているのかわかりませんでしたが、船室に帰って外を見ると船は動いていました。この船にとっては狭い横浜港を出てすぐにベイブリッジをくぐって東京湾へと出て行きました。
夕食の時間は17時30分からと19時30分からの2回制で、我々は17時30分からと決まっています。ダイニングは4つあって他にもビュッフェスタイルのインターナショナル・ダイニングがあります。他に寿司屋とイタリアン・レストランもあります。決められたパシフィック・ムーンという名のレストランへ行くと、あらかじめ決められている椅子に案内されました。これからずっとこの席でたべるようです。隣に座ったご夫婦2組は随分この船に乗っているようでした。毎日変わる夕食メニューから適当に選んで食べてみましたが、おいしいとは言えない味でした。まあ、我慢して食べるしかないなと思いました。1時間半ぐらいという早いスピードで夕食を終えて、船内の主だったところを歩いてみましたが、あまりの広さと施設の多さに驚きました。まあ明日は一日釧路に向かって走るだけなので、ゆっくりと船内探検することにしましょう。部屋に帰って小さくて柔らかすぎてあまり落ち着かないベッドに入って寝ました。明日は一路釧路に向かって終日クルーズです。 (続く)