東海自然歩道 その61
     -鳳来寺から三河大野まで-

2019年5月10日 晴れ

 前回の難所、岩小谷山から無事生還してもう2か月が過ぎてしまいました。日程的にはそれからも東海自然歩道を歩くチャンスは何度かあったのですが、天候に恵まれず、延び延びになってしまったのでした。四谷の千枚田からは蓬莱寺を経由して三河大野まで約20キロなのですが、これが結構きつそうなので、鳳来寺から三河大野を経由して阿寺の七滝までを先に歩く計画を思いつきました。つまり2回で行くところを3回に分けるという老人らしいずるい計画なのでした。


 蓬莱山表参道              シャクナゲ

  牧水像                1425段

 5月9日の夕方に、前に泊まった新城市のビジネスホテルに入りました。夕食は、ホテルの前の店は前回で懲りたので、スーパーでおかずとビールを買ってきて、テレビを見ながら部屋で食べました。翌朝はいい天気で、ホテルの前のバス停から設楽町田口行きのバスに乗りました。3月に岩小谷山へ行った時と同じ時刻のバスで、今回は通学の学生さんたちは乗っていなくて、乗客は私一人でした。バスは1時間ほどで「鳳来寺」バス停に到着しました。ここが鳳来寺に登る表参道で、門前にお店が並んでいます。丁度5月の連休が終わったところで、店の前を掃除しているおばさん以外は誰もいなくて、のどかな雰囲気が流れています。装備を整えて参道を登って行くと、咲き終わったシャクナゲの花が道端にありました。道端にはさすがに徳川家康の地元だけあって、色々と徳川家ゆかりの標識やら石碑やらが並んでいますが、こちらは関が原では西軍に味方した関西贔屓なので、なんとなく気持ちに盛り上がりが欠けます。

 
 仁王門                  傘杉

 鳳来寺本堂               蓬莱山東照宮


 参道を登って行くと、蓬莱山自然科学博物館があり、若山牧水、松尾芭蕉の記念碑、硯の工房と店があり、その先から石段になっていました。「これより鳳来寺まで1425段」と書いてありました。「何?四国の金毘羅山の石段よりも多い」、深いため息とともに「しゃーない」とあきらめて登って行きました。石段を百まで数えてはため息をつくことを黙々と繰り返していくと、途中に立派な仁王門がありました。次に大きな「傘杉」があり、1300段を過ぎたところで鳳来寺本堂に出ました。鏡岩という大きな岩山が奥にそびえていました。次回歩く予定の宇連山からの道はここに繋がっているはずです。石段登りに1時間20分かかりました。距離は2.2キロでした。本堂の向かいにある田楽堂で下界の景色を眺めながら一休みしました。私のほかには夫婦二人の旅行者がいるだけでした。
 ここから東海自然歩道となり、「蓬莱山東照宮」を経由して行者峠を越えて三河大野まで行くことになっています。東照宮は、日光、久能山と、ここ蓬莱山の3カ所にあるようです。三代将軍家光がおじいさんの家康の故郷に建てたそうです。日光東照宮には、昔に行ったことがあります。その時あまりの豪華絢爛に驚いたのを記憶していますが、ここの東照宮はこじんまりとしていて丁度いい感じのお社でした。徳川幕府も3代目でもう金が続かなくなったのかとも思えますが、このぐらいのほうが見る方も気が楽です。鳳来寺と東照宮で一休みして階段登りの疲れを癒して、いよいよ行者越の難所に挑戦します。駐車場の横を抜けて、山道を登ったり降ったりの末に、45分かかって行者越の道標がある広場に到着しました。丁度その時に仏法僧かどうかはわかりませんが、フクロウの鳴き声が聞こえてきました。


 行者越                  宇連川の吊り橋

 下りの難路を慎重に歩いて、行者越から15分で湯谷温泉への分かれ道の湯谷峠に到達、更に30分下って引地の集落に出ました。JR飯田線の線路をまたいでいくと、宇連川に架かる吊り橋にでました。丁度12時になったので、ここで昼休みにして、お結びを2個食べました。15分の休息の後、歩き始めるとすぐに大野の町に入りました。ここは昔の宿場町で、町並みにその雰囲気が出ていました。蓬莱山から秋葉山への街道ということになるようです。見物しながら町を抜けてさらに進んでいきましたが、いつのまにか東海自然歩道の道標が見つからなくなっていました。地図とGPSで確認したところ、やはり500メートル手前で曲がり角を見落としたようでした。時刻は13時で、これから阿寺の7滝までは2時間かかり、その先の帰りの交通機関もよくわからないので、最悪歩いてここまで帰ってこなければならなくなります。どんどん弱気になって来て、ついには「今日はここまで」ということになりました。少し早仕舞いなのですが、三河大野駅まで歩いて行きました。今日は階段1425段を含めて10.2キロ歩いたことになりました。
 三河大野駅はもちろん無人駅で、時刻表もないのでスマホで時刻表を調べてみると、なんと豊橋行きは2時間後の15時ではありませんか。ここで座っていても仕方がないので、一駅分歩いて行くことにしました。本長篠までは3キロほどです。宇連川沿いを歩いて行くと14時に本長篠駅に到着しました。するとそこにおあつらえ向きに列車が止まっていました。ここ始発の豊橋行きがあったのです。豊橋には16時に着いて、新幹線で新大阪には17時半に帰り着きました。今日でついに積算で1000キロを超えました。
 (累計 1006.9/1700)