タイのパタヤでゴルフ
日本のゴルフシーズンが始まる前に、今年もタイへ行くことになりました。冬の寒い頃に、誰かが「タイへゴルフに行こう」と言い出すと、暇な人が集まるのです。タイではバンコック市内に泊まって、郊外にあるゴルフ場に行くのが通例だったのですが、「バンコックに泊まってもどうせ飯を食って寝るだけなのだから、郊外にあるゴルフ場に近いホテルで良い」という意見が出てきました。そんなわけで、今回はパタヤというビーチリゾートに泊まることになりました。パタヤはタイの首都バンコックから南東へ車で2時間ほどのところで、タイランド湾(昔はシャム湾と呼んでいました)の東側にあります。スワンナブーム国際空港からだと車で1時間くらいの位置にあります。
3月下旬の月曜日の朝に、仲間内でもとりわけ暇な4人が関空の出発ロビーに集まりました。飛行機は午前10時過ぎ出発のLCC、AIR ASIAのエアーバスA330です。値段が一人バンコック往復で8万円という安さなので、結構お客が集まっています。日本からのLCCに乗るのは初めてなので、興味津々です。とはいっても、アメリカやブラジルなどでは大手のエアーラインもすでに中身はLCC化してしまっています。余計なサービスは全てカットされて、食事も飲み物も別に注文すれば有料です。何も言わなければ「サンドイッチに炒り卵を挟んだだけ」などという、恐ろしい食べ物が出てくるだけです。映画や音楽も自分のパソコンでどうぞといった方式で、ただでさえ愛想の悪いCAさんは、サービスするという精神は忘れてしまっていて、いかに早く自分の休憩時間をとるかということだけを考えて行動しています。
さて、飛行機に乗り込んで様子を見てみました。普通の国際線のエアーラインではどこもシートテレビがありますが、この飛行機は国内線と同じ仕様で、何もありません。座席ポケットには非常用案内のパンフレットと、機内誌、免税品リスト、有料の食事のリストが入っているだけです。私は原則として機内で映画は見ないことにしているので文句はなく、6時間ぼーっとしていればバンコックに着くはずです。食事は事前にインターネットで予約する必要があります。5種類ぐらいのメニューから選んで登録しておくと、それが出てくるのです。離陸して暫くして、CAさんが食事を配り始めました。航空券にその注文情報が入っているらしく、それを読み取り機にかざして確認して箱に入った食事とペットボトルの水を配って行きます。あっという間に食事が終わり、あとは大人しく座っているとバンコックに着きました。タイの到着空港はドンムァン空港、昔よく通った懐かしい空港です。今では国際空港はスワンナブーンに譲って、国内線とLCC用の空港として利用されているようです。
中国人、韓国人などでごった返す入国審査をようやく通過して駐車場へ行くと、タイへ行くときは決まってガイド役をしてくれるK君が友達から借りた車が待っていました。日本製の大型SUV、今回はこの車をずっとK君が運転してくれることになっています。空港を出るとすぐに高速道路に入りました。今から30年ぐらい前はまだ高速道路が無くて、渋滞の道路をいつ着くともわからずにバスに乗っていたものでした。今ではバンコック周辺は複雑な高速道路網が整備されてきました。我々の車はバンコック市内のビル群を遠くに見ながら南東に向かって走りました。2時間ほど走って行くうちに夕方になったので、ホテルに行く前に夕食を食べることになり、パタヤの手前にあるビーチ・レストランへ行きました。とりあえずは無事に到着したということで、タイ料理とシンハ・ビールで乾杯しました。食事を終えてホテルにチェックインしたのは午後8時でした。
大型スーパー カブトガニ 食べる?
2日目は6時半にホテルのビュッフェを食べてゴルフ場に出発しました。パタヤの郊外のゴルフ場には1時間以内で到着しました。幸いにも雨にも会わずにゴルフが終わったのは12時でした。シャワーを浴びて、ゴルフ場からの帰りにレストランに立ち寄って、昼食をゆっくり食べました。午後2時にホテルに帰り着いて、夕方まで休憩です。今日の予定は夕方からおかまショーを見に行くそうです。K君が今回タイ初訪問のNさんにショーを見せたかったようです。わたしにとっても初めての経験でした。午後5時半にホテルを出て、白亜の立派な建物の劇場に到着しました。群衆でごった返している中を劇場に入り、切符を買って椅子に座りました。ショーは6時に始まりましたが、客席はほぼ満席でした。ショーは入れ替わり立ち代わり、男役と女役がきれいな服を着て歌って踊るという、私にはよくわからないものでした。音痴の私には「これの何が面白いのだろう?」のじっと我慢の1時間半でした。やっとショーが終わり、近くのショッピングモールのレストラン街で、タイシャブのMKレストランで軽く夕食を食べて帰りました。
3日目のゴルフは昨年もプレーしたシャム・カントリー・クラブでした。午後スタートで、出発したとたんに雷雨となり一時避難しました、幸い30分ほどで止んだので、午後2時ごろから再スタートして無事終えることができました。もう夕方になっていたので、帰りにレストランに寄って夕食を食べました。今日もタイ料理で、すっかりガイド役に徹してくれているK君にお任せです。ビーチの近い海沿いの洒落たレストランでご馳走を食べました。ホテルに帰り着いたのは午後9時頃でした。
ボートで埋め尽くされ・・・
4日目はゴルフはしないで、休養することになっています。昔は「せっかくゴルフに来たのだから」と4日連続で、日本へ帰る日まで早朝ゴルフをやって、夕方に空港へ駈け込んだりしていましたが、近頃は途中で休みを一日入れるようになりました。朝ご飯を食べてパタヤ・ビーチを散歩してみました。ホテル周辺はマッサージ屋さんや飲み屋、土産物屋と雑多な店が立ち並んでいて、朝から男か女かわからない人達が屯しています。海岸は道路の海側はヤシの並木の遊歩道と砂浜が続いています。ここパタヤ・ビーチで特徴的なのは大型のモーターボートが異常に多いということです。海岸をびっしりと埋め尽くしている風景は異様です。どうやら、観光客を乗せて沖合に出てパラセーリングをさせて稼いでいるようなのです。海水浴客は50メートルほどの小さな囲いの中で泳がされていました。ボートにぶつからないように配慮しているのでしょうが、ビーチで遊ぶという雰囲気は全くありません。暫く浜辺を観察していると、観光バスが次々と到着して、中国人や韓国人の団体をおろしています。ビーチで記念写真を撮ったり、中にはモーターボートで沖合に出てパラセーリングをする人もいるようです。最近の日本人は団体でバスツァーに参加することは少なくなっていますが、30年ぐらい前は大挙してバンコックの寺院に押しかけていたものです。
こんな格好になりました 複雑怪奇な木彫
空を飛ぶ?
暫くビーチを散策してホテルに帰りました。午前中にK君が近くの観光地に連れて行ってくれることになっています。ホテルから車で15分ぐらい北に行った海岸にあるサンクチュアリー・オブ・ツゥルーズという名の公園です。そこの入り口で入場料を払って階段を下りていくと、なんとも不思議な建物が見えてきました。建物自体は仏教寺院風ですが、その外壁も内部も一見ヒンズー寺院にあるような像で埋め尽くしています。建物は工事中(まだ建設途中らしい)なので入る前にヘルメットを渡されました。バルセロナのサグラダ・ファミリアのタイ版のような感じで、写真で見ていただければ一番よくわかります。新興宗教のモスクといった感じです。内部には国王の写真が飾られているので、この施設はそれなりにタイ王国では理解されているのでしょう。見物を終わって、帰りにレストランへ寄って昼ご飯を食べて、ホテルに帰って夕方まで部屋で休養しました。午後7時からはパタヤのビーチ近くにあるレストランでタイの民族舞踊を見ながら夕食を食べました。
5日目は今回の旅行で最後のゴルフです。昼頃スタートなので時間があり、ちょっと寄り道して、パタヤのビーチが見える展望台がある高台へ行ってみました。ひとしきり見物してゴルフ場に向かいました。今回初めて行くCHEE CHAN G.C.は車で30分ぐらいのところにありました。少し内陸に入って行くのですが、ゴルフ場近くに大きな寺院が複数立ち並んで、その近くにある山には仏様の巨大な絵が金の線で描かれています。ゴルフコースは最近できたようです。フラットな、池が沢山あるタイ風のコースですが、何よりの特徴は先ほど近くを通ってきた大仏様がコースから見えることです。「どうか池に入りませんように」と祈って打てということなのでしょう。仏様のおかげで無事楽しくゴルフができました。夕方帰り道に、今回の旅行最後の夕食を浜辺のシーフード・レストランでとりました。入り口に広い水槽がたくさん置いてあり、魚、エビ、カニなどが泳ぎ回っています。水槽まで行って「あのエビ、この魚」といった調子で注文しました。とてもおいしい料理をたらふく食べて、午後8時にホテルに帰り着きました。
6日目は帰国の日です。朝9時にホテルを出て、ドンムァン空港まで高速道路を2時間半かけてドライブしました。空港はこの日もごった返していました。圧倒的に多い中国や韓国からの人々と少数の西洋人といった割合で、「やかましい、静かにしろ」と言いたくなる喧騒と渋滞です。お土産をと思っても、買いたいようなものは何も売っていません。昼飯はハンバーガーとコークでした。飛行機はほぼ満席の客を乗せて、14時15分にドンムァン空港を離陸しました。順調に飛行して、関空には21時30分に到着しました。大阪は雨が降っていました。最終のバスに間に合って、蛍池には12時前に到着、自宅に帰ったのは午前0時を過ぎていました。帰国後、テレビのニュースで「タイ、パタヤで特殊詐欺の日本人グループが逮捕された」と言っていました。我々がタイ料理で舌鼓を打っていた同じ場所から、振り込め詐欺の電話をかけていたとは。変な時代になったものです。