東海自然歩道 その60
-設楽町田口から四谷千枚田まで-
2019年3月11日 雨
2019年初めての東海自然歩道は、3か月ぶりの挑戦になります。昨年11月に段戸裏谷の寒いキャンプ場で泊まって以来です。年が明けて平成最後の年になって一度だけ寒波が来ました。そのあとは穏やかな冬でしたが、次に控えているのが東海自然歩道3大難所のひとつと脅かすものですから、中々腰が上がらなかったのでした。そうは言っても、いつまでももたもたしていると、冬眠中の熊やら蛭が起きだしてくるので、今日から活動開始です。ネットでの事前調査で、愛知県新城市から豊鉄バスが田口まで運行していることが判明しました。10時に自宅を出て、難波から名古屋までは近鉄特急、名古屋からJRで豊橋を経由して飯田線新城駅に着いたのは午後4時前でした。ビジネスホテルにチェックインして翌日に備えました。ホテルの前にあったレストランで夕食を済ませましたが、これが信じられないほどのまずさでした。大抵のものは食べる主義ですが、今回はさすがに食べられませんでした。それでも結構客が居たのはいったいどういうことでしょうか。向かいにあるスーパーで明日の昼ごはんにお結びとパンを買って、部屋に帰ってさっさと寝てしまいました。
信玄塚 ザゼンソウ
のこぎりのような・・・
ヤマビル注意 十三曲がり
まずは下り階段 鉄梯子が続く
手すりに縋り付いて・・・ へっぴり腰で・・・
岩古谷山の山頂 塩津温泉へ
2019年3月12日 晴れのち曇り
ホテルを7時前に出て、駅前の通りにある豊鉄バスの停留所まで歩きました。7時9分に来たバスには通学の学生さんが乗っていました。バスは1時間余りで終点の設楽町田口に着きました。バスターミナルで装備を整えて、前回終了地点の福田寺前まで歩いて行きました。いよいよここから岩古谷山(いわこやさん)への挑戦が始まります。午前8時50分に出発しました。福田寺は小さなお寺ですが、武田信玄が亡くなった場所と言われています。奥の庭に信玄塚があり、そばにザゼンソウが咲いていました。東海自然歩道の道標には「東京まで405キロ」と書いてありました。お寺の裏から林道に出て10時10分に小松の集落に到達しました。いつもよりは遅いペースですが、今日は危険な岩古谷山に登るので最初からゆっくり確実な歩きをしようと決めているのです。
それにしても、ここらあたりの山はまるでのこぎりの歯のような異様な山容です。11時を過ぎて鹿島山の麓の神社の鳥居に到着、その後は和市の集落へ山道を下って行きます。いよいよここから岩古谷山への登りになります。まずは「十三曲がり」と呼ばれるつづら折りの坂道を登ります。登り切った地点までは出発から7.1キロ、3時間25分経過していました。標高は722メートルでした。空はいつの間にか曇ってきました。山道を進んでいくといきなり木製の階段が現れました。遂に難所の始まりです。階段を慎重に下りきると、今度は鉄製の梯子を登ります。次に岩を巻くように付いている木製の階段を手すりにしがみついて登って行きます。ロープを張った岩場を、切り込みに足を入れて、へっぴり腰で登って行きます。そんなことを繰り返して、ついに岩古谷山799メートルの頂上に到達しました。出発から7.8キロ、4時間かかりました。
山頂でようやく景色を見る余裕ができました。お結びを食べて水分補給して、今日の泊まりの塩津温泉に向けて歩き始めました。降り道にも階段、ロープが連続してあり、1キロ以上にわたってへっぴり腰の歩きが続きました。1時間で1キロしか進んでいません。山道は稜線を通っているので、まるで蟻が巨大なのこぎりの歯を縦に進んでいるようで、15時に御殿岩を通過した時には、気力、体力使い果たしてへたり込んでしまいました。休憩して立ち上がって進んでいきましたが、ここで問題が発生しました。道が地図と違っているのです。とりあえず道標に従って進んでいきましたが、地図とは反対の斜面のほうに進んでいきます。ここで間違えれば致命傷になりかねないので、引き返して地図通りに進んでみると、そこは崖っぷちでした。また戻ってもう少し道標通りに進んでみると、びわくぼ峠という立て札と自然歩道の道標がありました。ここからは1キロで塩津温泉です。
最後の下りは転がり落ちそうな急斜面が続きます。もう踏ん張りがきかなくなっている足に鞭打って、痛みをこらえて足場を確保しながら歩いて行きました。「あしたはここを登って行くのかいな」と考えると暗い気持ちになりました。50分で無事に登山口まで降り切りました。旅館秀山荘のおかみさんに迎えられて靴を脱いだのは丁度17時でした。「3時から5時の間に到着予定」と伝えていたので心配してくれていたようです。本日は13.0キロ歩きましたが、距離以上に消耗しました。温泉に入って、晩御飯でお酒を少し飲んで寝ました。(累計990.6キロ/1700)
ひたすら登る・・・ 鞍掛山を通過して
かやしげ峠
2019年3月13日 曇り時々雪
朝起きてみると雨が降っていました。午前8時半頃に出発する予定でしたが、スマホの雨雲レーダーを見るとまだ雨雲が抜けるには時間がかかりそうだったので、旅館の女将さんにこの辺りの歴史や風物について教えてもらいました。9時半になって、どうやら雲が抜けそうになったので出発しました。10分歩いて、昨日降りてきたびわくぼ峠に向けての登山口に到着しました。雨は止んで青空も顔を出しました。これからは樹林の中の急登で標高差400メートルを一気に登らなければいけません。黙々と昨日下った山道を、痛む足を持ち上げて小さな歩幅で登って行きました。距離は1キロなので、普通に歩けば1時間で到着するはずが、1時間20分もかかってびわくぼ峠に到達しました。標高746メートルです。
冷たい風がふもとから吹き上げてきてとても寒いので、休憩もそこそこに、鞍掛山883メートルに向けて歩き始めました。依然としてかたつむりのごときスピードですが、それでも11時40分には山頂に到達しました。青空から時々雪が落ちてくる冬型の天候で、寒さのためお結びを1個食べただけで昼休みを終え、下りに掛かりました。これがすばらしい急斜面で、1歩1歩足に大きな負担がかかります。足が攣れば恐ろしい事態になるので、筋肉をいたわるようにゆっくりと足場を固めて降りていきました。幸い、適切な間隔で道標が立っていたので、コースについては心配することはありませんでした。途中一度休憩して、12時50分にかやしげ峠に到着しました。このすぐ先に四谷千枚田(よつやせんまいだ)があります。東海自然歩道はここから仏坂(ほとけざか)峠に向かうのですが、私は「本日はここまで」ということで、千枚田を眺めながらバス停まで下りていくことにしました。ここまで3.2キロでした。
写真を撮りながら下って行くと小学校の前に豊鉄バスの停留所がありました。バスは14時25分発で、まだ少し時間がありましたが、朝から6.1キロしか歩いていないのにすでにヨレヨレでした。この2日間は私の中では東海自然歩道1番の難所でした。本長篠までバスに乗って、飯田線に乗り換えて豊橋に出ました。新幹線で新大阪に着いたのは18時13分でした。
(累計996.7キロ/1700)