東海自然歩道 その57
   -足助(あすけ)町香嵐渓から平勝寺まで-

2018年11月1日(晴れ)

 温泉旅館の白鷺館は足助町の下流にあり、香嵐渓までは2キロ位です。11月1日からは紅葉祭りということですが、まだ紅葉には早くて他の泊り客は無しの、貸し切り状態でした。昨夜は温泉に入って夕食になりました。さて、「お料理は」というと、これが実に、酒飲みのために作られたような豪勢なものでした。机に所狭しと並べられた珍味、「あとから名物のアユの塩焼きとアユのから揚げ、アユ飯も出ます」とのことで、すっかりうれしくなって、地酒5種の利き酒セットを頼んで飲み始めました。ご飯を食べ終わるころにはほろ酔い、満腹で幸せな気分になって寝てしまいました。


                     香嵐渓


 朝の食事もおかずが沢山あって、ビールでも頼みたいぐらいでした。そこは我慢してご飯を2杯食べて腹ごしらえをしました。今日の予定は香嵐渓を通って、山に入り綾渡町の平勝寺まで行って、そこから足助町に戻ってくるつもりです。平勝寺から先の東海自然歩道は山道を筈が岳985メートルを通って寧比曽岳1120メートルに登り、そこから段戸裏谷までを歩かなければならないのです。今回は次の長距離歩行の前にできるだけ前進しておきたいという作戦です。旅館を午前9時に出発して、途中のコンビニで昼食用にパンを買って、県道を歩いて行きました。足助大橋、足助八幡宮の手前で山すそに入り、少し進むと「香嵐渓ビジターセンター」に出ました。この日からは紅葉祭りですが、まだ紅葉は始まったばかりで、朝も早いので見物客もありません。巴川沿いの香嵐渓の景色を眺めながら歩いて行きました。イチョウは色づいているものの、紅葉は先のほうが赤くなりかけている程度でした。それでも朝の清流は気分よく歩かせてくれました。
 出発から1時間半で香嵐渓を過ぎて、安実京(あじきょう)町の集落にさしかかりました。ここで橋を渡って、山道へと入って行きました。ここからは急な登りが続きました。そして有洞町の集落に入り、すぐに抜けて山道に入るところに「熊注意」の看板がありました。今回から用意している携帯ラヂオを早速取り出して、腰にぶら下げました。ここからは東海ラヂオを聞きながらの歩きになります。出発から10キロの地点でした。12時になったので、コンビニで買ったパンを取り出して昼休みにしました。10分の休憩です。この辺りの標高は600メートルほどになっています。


                     炭焼き小屋


 更に40分ほど歩いて行くと山道から林道に出ました。中西洞地区に出て、道標に沿って舗装道路を登って行くと今日の目的地の平勝寺に着きました。少し盆地になっていて、標高は533メートル、出発から12.2キロでした。思ったより距離もあり、きつい登りだったので、ここで区切ったのは正解だったようです。平勝寺は神社と一緒にある古いお寺で、入り口にそびえる大杉と、その下にある2階建てで上が鐘楼になっている山門がいい雰囲気を出しています。このお寺は、昔は大層大きな寺院だったそうですが、今は丁度いいぐらいの大きさです。
 「今日はおしまい」といってもここからの交通機関は無いので、歩いて足助の町まで下りていかなければなりません。午後1時に引き返しの道を歩き始めました。2キロほど降りたところにユースホステルがあるとの情報があったので行ってみましたが、小学校跡を改装したユースホステルは閉まっていました。さらに1時間舗装道路を下って行くと足助川に沿った集落が見えてきました。橋を渡ったところに温泉と宿泊施設がある「百年草」の建物がありました。ここから猿投まで豊田おいでんバスがあるのです。本日は17.6キロ歩きました。次回は平勝寺から、いよいよ寧比曽岳山頂を経て段戸裏谷までの山岳コースに挑戦となります。
  (累計 944.7キロ/1700) 


2018年を振り返る

 2018年は波乱の年と記憶されるでしょう。私の東海自然歩道行脚は、1年間で250キロ余りの前進でした。岐阜県揖斐川町から始まり、愛知県北設楽郡設楽町まででした。もうすぐ静岡県に入り、ゴールの高尾山までは400キロ余りになりました。春の雪融けを待って谷汲山華厳寺の桜を見て、その後は夏の猛暑で足踏みさせられました。無理して信楽に出かけて猛暑でふらふらになり、逃げかえったこともありました。9月は所用があってお休みしました。10月に再開したものの、何しろ名古屋の東まで出かけるのが大変で、新幹線の始発で行っても、スタートは9時を過ぎてしまいます。1泊2日の旅程も増えてきました。うまい具合に近くに温泉があればご機嫌なのですが。秋には大きな台風が続けざまに襲って、山は壊滅的な被害を受けました。山道は倒木に遮られて難儀しています。
 2019年はどこまで行けるのでしょうか。まさかゴールまでは無理でしょうが、富士山が普通に見える景色の中を歩いてみたいものです。