東海自然歩道 その56
-勘八山から足助まで-
2018年10月31日(晴れ)
快晴の朝、半月前に歩いた勘八山の麓に立ったのは、午前10時半でした。装備を整えて、住宅が点在する丘にある果樹園に沿った道を勘八山に向かって歩き始めました。この山は標高161メートルの低い山です。なだらかな傾斜が続く雰囲気のいい道でした。出発して30分、「勘八山」の標識を越えたところが「勘八牧場」という開拓地でした。秋に咲く桜が満開になっていました。案内板によると、昭和44年に牧場と農園として開拓が始まったとのことでした。牛はすでに畜舎の中に入ったらしく、姿はありませんでした。昭和44年といえば、丁度私が北海道の小樽へ行った年で、50年前のことです。開拓といえば明治、大正を連想してしまうのですが、自分が18歳の時に開墾が始まり、50年たってここにあるということに、過ぎ去った長い歳月を感じました。
牧場からの緩やかな下りを30分ほど歩くと県道を越え、舗装された林道に出ました。2.5キロ地点です。歩きながら前方を見ると、50メートルほど先に何か動物が見えました。5.6頭の猪の群れが道端の土を掘り返しているのです。まだこちらには気が付いていません。これだけ離れていると向かってきても逃げられるだろうという、根拠のない判断でトレッキング・ポールを打ち鳴らして音を出してみました。10回ほど叩いていると、猪が気づいたらしく、山の中に群れ全体が入って行きました。「猪は夜行性だから昼間は大丈夫」というこれまでの思い込みが完全に否定されました。後日、山に詳しい人に聞いてみたら、昼間でもエサをあさりに出てくるということでした。5分程時間をおいて、足早に猪の食事跡を通過しました。すぐそばで萩の花にアサギマダラがのんびりと飛んでいましたが、写真を撮る余裕はありませんでした。
猪をやり過ごしてしばらく歩いて行くと小さな集落に出て、その先に「千鳥寺」という名のこじんまりした寺院がありました。丁度お昼になったので、ここでお結びを食べて休憩にしました。再び歩き始めて、少し上りになっている道を行くと墓地がありました。墓地の周りの道を進んでいきましたが、どうやら墓地の周回道路に入ったらしく、墓地の入り口に戻ってやり直しました。注意深く見ると、墓地の入り口直前に山道が左へのびています。この入り口が枯れ枝に覆われていて見過ごしたようです。無事に自然歩道に戻って、南山カンツリークラブという名のゴルフ場の脇を抜けて、暫く山道を進んでいきました。下り坂の先に舗装道路があり、その脇に公会堂が建っていました。東海自然歩道の道標もあり、ここは山中町と書いてありました。一休みした後、桜並木と田んぼの間を進んでいくと、再び山道にかかり元山中峠を越えると東大島町の集落にでました。ここまでは8.4キロでした。
集落の中を進んでいくと、香嵐渓から流れ下って来る清流、巴川に出ました。橋を渡ったところに東海自然歩道の案内板がありました。ここから足助町、香嵐渓までは6キロと書いてありました。林道から巴川沿いの山道に入り、小さく曲がりくねった道を2キロほど行くと、再び林道に出ました。そのさきは巴川を見ながら舗装道路を歩いて行きました。篭林町の集落に入ったところに今日のお宿の白鷺館の看板が出ていました。今日はここまでです。13.1キロ、明日も歩くので今日はこのぐらいにして、温泉に入って少しお酒を飲んで休養します。
(累計 927.1キロ/1700)