東海自然歩道 滋賀県本線ルート2
   -紫香楽宮跡から余野公園まで-

 2018年7月31日 晴れ

 台風12号が奇妙な動きで大阪の真上を東から西へ横断して、それまでの猛暑も何とかなるのかと思っていたら、一向に気温は下がりませんでした。「命に係わる暑さ」と脅されても、さすがに家の中ばかりで過ごすわけにもいかないので、思い切って東海自然歩道に出かけました。今回は本線ルートの積み残しの分で、計算上25キロを超える長い区間です。これが無事終了すれば、昨年の冬に「まほろばの道」で歩いて来たルートと余野公園で繋がるのです。
 いつものように午前6時5分千里中央発の北大阪急行で新大阪へ行って、米原行きの新快速に乗り換えて草津まで行きました。そこで草津線に乗り換えて貴生川駅へ、更に信楽高原鉄道で紫香楽宮跡(しがらきぐうし)駅に着きました。無人の駅前で準備を整えて、前回迷って到達できなかった紫香楽宮跡公園を目指しました。住宅街を抜けて公園に行きましたが、道標がよくわからない方向を示していて、朝の元気な時でも?と思うところがあり、夕方ではとても無理だったのがわかりました。


 紫香楽宮跡駅                       紫香楽宮跡の道標

 紫香楽宮跡の礎石                    悪路は続く

 穴太衆の石積み                      悪路は続く 2

 09時に駅まで戻って来て、自動販売機でドリンクを買いました。いよいよ本日の長丁場に挑戦と気合を入れなおして出発しましたが、すぐに駅裏の結構急な上り坂に遭遇しました。既に気温が30℃近くになっていて、20分ほどで早速休憩しました。信楽は高原の盆地だから朝晩は涼しいと思っていたのですが、今日は全然大阪と変わりませんでした。アブラゼミが鳴いていました。近頃大阪ではクマゼミがほかのセミを圧倒してしまった感がありますが、ここらあたりではまだ頑張って鳴いていました。小さな山を越えて、坂道を下りきると新名神高速道路の高架橋「隼人橋」に出ました。大津の穴太(あのう)衆の伝統の石垣が再現されていました。だれがここまで見に来るのでしょうか。出発から2.9キロ地点でした。高速道路から離れると、すぐに山道に戻りました。この道が、度重なる豪雨でえぐられて、まるで水が枯れた渓谷の底のようになっています。この道の入り口に通行止めと書いてあったので仕方がないのですが、迂回路も示されていませんでしたから、行けるところまで行こうと決心しての行動でした。この川底歩きが2キロほど続きました。時間はかかるは、疲れるはで消耗しました。11時になってやっと林道に出ました。6キロ地点です。


 岩尾池

 明王寺                            まほろばの道との合流点

 香南町杉谷という集落に出て、ここで15分の休憩を取りました。出発から7.2キロですから、やはり暑さと悪路で時間がかかっているようです。再開して水田と集落を抜けて、岩尾池に到着しました。この池はかなり大きな溜池なのですが、工事中ですっかり池の水が抜かれていました。更に進んでいくと大沢池に到達しました。ここから山道の登りにかかって12時50分に展望所と書いてある地点にさしかかりましたが、周囲の木が成長してあまりよく景色は見えませんでした。ここでペットボトルの水が無くなってしまいました。林道に出て水田の中を進んでいくと上磯尾の集落に出ました。そこから集落の家の前を抜けて田んぼの中の藪道を突っ切って行くと明王寺がありました。この静かなお寺の境内に東海自然歩道の休憩所がありました。時刻は14時で、14.2キロ地点です。普段どこにでもあると思っている飲み物の自動販売機がありません。15分休憩して、再出発しました。ここから先はそれほどの山道もない筈なので、どんどん歩いて行きましたが、どこまで行っても自販機はありません。猛暑の中を1時間半歩いて伊勢廻寺に到着しました。ここにも自販機はなく、空のペットボトルに水道の水を入れて行くことにしました。15時30分、17.8キロ地点で、計算上は今日のゴールまでまだ10キロもあります。
 ひたすら歩いて余野公園を目指しましたが、木漏れ日の山道がだんだん薄暗くなってきました。17時30分ぐらいになって、山道で猪除けの柵を抜けたところで道を間違えたようです。ものすごい藪でとても前に進めなくなりました。すぐ下に水田が続いているのですが、そこまで行く道がありません。色々他の道を探ってみたのですが、時間がたつばかりです。意を決して、水田の畔まで強行突破することにしました。胸の高さまで密生した萱と葛をかき分けて、1メートル幅の水路を渡って水田に出たときはホッとしました。これで精力を使い果たして、「今日はこれまで」と集落を探して歩き始めました。やがて、「富士スタジアムGC」がありましたが、すでにゴルフ場の門は閉じていました。
 とぼとぼと歩いて行くと民家があったので、とりあえずは訪ってみました。奥さんが出てきたので、タクシーは呼べるか聞いてみました。会社に電話してくれましたが、色よい返事は無いようでした。冷えた麦茶をいただいてへたり込んでいると、親切にも駅まで車で送っていただけることになりました。奥さんが柘植の駅まで送ってくれました。本日の歩行距離は26.9キロ、あと3キロを残してしまって情けない決着ですが、ご厚意が身に沁みました。19時08分の草津線に乗って、夜9時に新大阪に帰り着きました。
 8月2日に、2日前に無念の撤退をした地点から余野公園までを歩きました。この日も38℃を越える猛暑でしたが、距離があと2ロと推察できるので、車で出かけて行って残りのルートを歩きました。その日は夕方で暗くなった山道の、最後の最後で道を間違えて柵にさえぎられた猪のごとく林を彷徨って、ついには藪漕ぎの末に水田に出てなんとかピンチを逃れたのでした。そこからゴルフ場の進入道路に出て、親切なご家族に助けられたところで体力の限界となり撤退しました。この日はゴルフ場のすぐ先に見つけた道標に従って山道に入って行きました。時刻は午前10時半で、まだ高温にはなっていませんでした。木漏れ日の道を気持ちよくゴルフ場のコースに沿って進んでいきました。40分ほどで舗装道路に出て、すぐにJR草津線の線路に行き当たりました。この線路と並行して走る道路を越えた先に余野公園がありました。余野公園の中を700メートルほど歩いて行くと、「まほろばの道」との合流点の道標がありました。1年半前に小雪がちらつく中を、ここから加太に向かって山道を登って行ったことを思い出しました。午前11時半に無事目的地に到着しました。3.3キロ歩きました。2日前に断念した判断は時間的に考えても正解であったと思いました。あまりの高温に、半年前に買ったばかりのコンパクト・カメラが故障してしまいました。
 (30.2キロ/本線合計58.8キロ)