今が初夏のパースへ行ってきました 後編
パース滞在2日目の朝も晴れでした。昨日に引き続き、周辺の偵察を兼ねて散歩に出かけました。ホテルのすぐ横が公園になっていて、広い芝生広場は主にクリケットに使われているようです。この奇妙なスポーツについては、イギリス時代から何が面白いのか理解不能でした。今もわかりませんが、もしかするとやってみれば面白いのかもしれません。南半球は丁度初夏になったところなので、ジャガランダのほかにも様々な花が咲き誇っています。それらを滞在中にできるだけ写真に撮ろうと思っています。1時間半散歩してホテルに帰って朝食を作りました。スーパーで買った卵の目玉焼きとハム、野菜サラダとご飯、漬物代わりのオリーブの実というメニューでした。卵の味が日本とは違っていました。黄身の色も日本のようなわざとらしい黄色ではなく、やや薄くアメリカの卵と同じ色でした。普通のエサで鶏を飼うとこうなるのでしょう。
この日は港町フリーマントルまで行ってみることにしました。朝9時頃にバスに乗ってパースのバス・ターミナルへ行って、10時のフリーマントル行き路線バスに乗りました。パース‐フリーマントル間は、バス、鉄道、船のどれでも行くことができます。所要時間は電車で50分ぐらいです。バスはパースのダウンタウンを出ると、しばらくはハイウェイを走りました。私が滞在しているホテルのあるコモという地区を抜けて「カニング橋駅」という電車の駅があるアップルクロス地区からは住宅街へ入って行きました。ここからは住宅街を曲がりくねって走って行きます。庭付き一戸建ての住宅街は初夏の花が咲き乱れていました。やはり目立つのはジャガランダの木です。それぞれの家は芝生に庭木を植えて、きれいに整備維持されているのはイギリス系の国の特徴でもあります。
バスは住宅街を縫うように30分以上走って、徐々にフリーマントルの港に近づいていきました。スワン川の橋を渡り西側の丘をこえるとインド洋です。港はスワン川の河口に岸壁があります。インド洋の大波が影響しないように流れの緩やかなスワン川の岸を利用しているのです。岸壁に電車のフリーマントル駅もあります。そこから東に旧市街が広がっています。歴史を感じる商店街で、石造りの教会や店舗が並んでいます。そろそろ昼になったので、商店街から公園を抜けて漁港へ向かいました。シーフード・レストランが並んでいるという情報の通りで、レストランが並んでいて、太ったオーストラリアの爺さん婆さんが大勢テーブルについていました。適当に選んだ店に入って、ムール貝とクルマエビ、フィシュ&チップスに白ワインで昼ご飯を食べました。満腹になってもう一度市街を散歩して、帰りはパースまで電車に乗りました。インド洋がちらちら見える風景を楽しみながらパース駅に帰ってきました。
パースの交通システムは電車、バス、フェリーを一つの組織が運営しているようです。料金は距離別に大きく四つに分かれていて、同じ地区以内であれば2時間以内の乗り継ぎは無料です。つまりフリーマントルから電車に乗って、パースで路線バスに乗り継いでも、切符は一つで済むということです。プリペイド・カードを買えば、運賃は約3分の一になります。一般市民はこのカードを使っているようです。バス停で降りて、ホテルまで歩いて帰りました。さすがにおなかが減らないので、夜はハム少々とチーズを齧って赤ワインを飲んでおしまいにしました。
滞在3日目の朝も晴れでした。気温が13度まで下がって、上着を着ての散歩になりました。スワン川にはカモメのほかにペリカンもいるようです。住宅街の街路樹には様々な小鳥が飛んでいました。カラフルなオームもいました。歩道を歩いているといきなり後頭部に何かがぶつかりました。振り返ってみると、小鳥が攻撃を仕掛けてきます。どうやら鳥の縄張りに侵入したので攻撃されたようです。後日もう一度行ってみましたが、同じように攻撃されました。
ホテルに帰って朝食を食べて、一休みしました。テレビを見ても日本の話はほとんど出てきません。日本のチャンネルも無く、オーストラリアの全国ニュースとパース近辺のニュースばかりです。この日は初日に周遊バスで行った植物園に行ってみることにしました。路線バスでバス・ターミナルまで行って、そこから歩いて2キロぐらいの丘の上にある植物園へ向かいました。途中にわか雨が降ってきたので、国際会議場の中にあるレストランで昼食にしました。「本日のスペシャル・メニュー」はステーキで、8ドルでした。食事が終わるころに雨が止み、再びキングス・パークに向かって歩いて行きました。ゴルフ場がいくつも作れるような広大な面積の緑地のほんの一部が植物園になっているのです。ジャガランダの並木道を歩いて住宅街を抜けると植物園に入りました。左手にはスワン川と町の中心部のビル街が見えます。1キロほど歩くと植物園のレストランや売店などの建物があります。そこから奥に様々な植物が植えられています。丁度初夏にあたるので、日本ではあまり見ないような花々が咲いていました。植物園をゆっくりとひとまわりして、町の中心部まで歩いて帰りました。スーパーをのぞいて晩御飯のおかずを買って、路線バスに乗って帰りました。
4日目も朝からさわやかな晴天になったので、少し長めの散歩になりました。ホテルから出て1時間半歩きました。花の写真を撮ったり、庭の手入れ具合を採点したりして楽しみました。そろそろジャガランダの木にも若葉が出てきました。芝生が散ったジャガランダの花びらで薄紫になっています。カラフルなオームがたいていは2羽ペアーになって住宅街の木を飛び回っていました。昼前にバスに乗って動物園前で降りてスワン川のほとりを散策しました。町の中心部とは反対側で、景色がいいので豪邸が立ち並んでいます。芝生の広場を歩いて行くとダウンタウンへと渡る橋がありました。スワン川の中州があって、そこにはカンガルーがいるというので、フェンスの中に入ってみました。広い原野を歩いても中々見つかりません。ほぼ一周したころにやっと1頭藪の中に見つけました。少し行ったところにもう一頭、それでおしまいでした。駅前の繁華街まで歩いて行って、フード・コートでアジアン・フードを食べました。この日はこれでおしまいにしました。
5日目は日曜日で、9時過ぎにバスに乗って、途中からスワン川を渡るフェリーに乗って町まで行きました。前日に歩いているときに、州庁舎の広場でフード・フェスティバルがあるという看板を見ていたのです。フェリーの港、エリザベス・キーから歩いて数分で立派なレンガの建物に到着して10時の開門を待って入りました。芝生広場には世界各国のテント村があり、様々な料理がありました。残念ながらアルコール類は売っていなかったので、あまりよく知らない東欧の食べ物を少し食べて、暫く会場を観察して出てきました。日曜日なので駅前の広場にもたくさんの人が出ていました。この町は地元の人とマレーシアからの観光客ぐらいで、あまり東洋人はいないようです。夕方になって路線バスでいつものバス停に降りて、ショッピング・モールにあるレストランで夕食を食べました。特にコメントはありません。
6日目も晴れでした。朝の散歩で時々見かけていたオームの写真を撮りました。こういう派手な鳥が普通の住宅街を飛び回っているのは奇妙な感じがしますが、本当のことなのです。この日はスワン川の上流のスワン・ヴァレーに行ってみることにしました。例によって路線バスで町まで出て、鉄道でMIDLANDという終点の駅までいきました。そこまで行けばワイナリーなり公園なりに行けるだろうと考えていたのですが、駅にはそんな情報も無く、折り返しの電車に乗ってすこし引き返しました。途中の駅からWHITEMAN PARKというコアラなどオーストラリアに棲息する動物がいる公園までバスが出ているということでした。駅前から路線バスに乗って住宅街を巡って、やがて原野の中のバス停に降り立ちました。他にもマレーシアから来たという人たちが数人降りました。バス停から公園までは1キロほどあるらしく、電話をすると車が迎えに来てくれました。原野なのでもちろんのこと「つきまといバエ」がしつこく付きまとってきました。入園料を払って広い園内を歩いて回りました。カンガルー、コアラ、ダチョウなどが、暑さのせいで日陰を見つけてほとんど寝ています。農家ショーというのを見てみました。よくしつけられた羊の群れのショーを見て、そのあと牧夫が電気バリカンであっという間に羊の毛を刈って見せてくれました。公園を出て、路線バスで駅まで出て、電車で町まで帰ってきました。ハエに付きまとわれて疲れたので、午後3時にはホテルに帰りました。滞在中ずっと自分でご飯を作っていたので、そろそろ外食をしてみようという気になりました。朝の散歩で見つけていたホテルの近くのレストランを予約しました。6時から出かけていきました。これが大当たりで、料理もサービスもよくできていて、とても楽しい夕食でした。
さて、いよいよ今回の旅も最終日になりました。朝チェックアウトして、ホテルに荷物を預かってもらって、今日はもう一度フリーマントルへ行くことにしました。真っ直ぐフリーマントルへ行くのは時間が早いので、いつも路線バスから見ていた動物園へ行ってみました。ホテルから30分ぐらい歩いて到着しました。開園直後で、学校の生徒が大勢入場していました。パース動物園は自然に近い環境で動物を展示しているようですが、樹木がいっぱいありすぎて、あまりよく動物が見えないので、なんだか植物園を散歩しているみたいでした。動物園を出てスワン川のフェリーでエリザベス・キーまで行ってフリーマントル行きの船に乗り換えました。
フェリー乗り場のカフェでパンとコーヒーの昼食をとりました。観光客を乗せたフェリーは食事付きや飲み物付きなど様々なタイプの切符が売られていましたが、こちらは運賃のみの片道切符にしました。定刻に出発して、流れの緩やかな、まるで湖のようなスワン川を航行しました。両岸にはヨットハーバーや高級邸宅が並んでいました。ウィンド・サーフィンで疾走する人もいます。暫く川を下っていくと川幅が狭くなりましたが、それでも流れはゆったりとしていました。1時間ほど風景を眺めていると、船はフリーマントルの町に近づいてきたようです。前にも言ったように、この港は岸壁がスワン川の両岸にあるので、フェリーはインド洋に出ることなく港に接岸しました。隣にはフランスのイージス艦がスマートな姿で停泊していました。
船から降りて、もう一度街の繁華街をぐるっと一回りして、ちょっと写真を撮って駅まで帰ってきました。丁度パース行きの電車があったので、それに乗って帰ってきました。飛行機は深夜零時発なので、まだまだ時間があります。パースの駅からバスに乗ってショッピング・モールで降りて、まだ一度も行っていなかったマレー料理の店で夕食にしました。それからホテルに荷物を取りに帰って、タクシーで空港に向かったのは午後8時でした。20分で空港に到着して、荷物を預けてラウンジで一休みしました。飛行機は定刻に出発して香港に朝の7時に到着しました。3時間待って関空に乗り継いで、関空には午後3時に到着しました。7日間を30度前後の快適な気温のパースでゆっくり過ごすことができました。この休暇で元気をもらって、例年にないような寒波の冬を乗り切ろうと思います。