猛暑の八月は引き籠り生活
2024年の8月は連日猛暑が続いています。何しろ午前中から33度を超えてしまうのですから始末に負えません。それに加えて、テレビは狂ったように「熱中症注意!」を繰り返しています。まるで一歩外に出るとたちまちぶっ倒れるような口調で注意喚起してくれます。ターゲットはお年寄りで、これまで70年以上生き延びてきた老人の夏の経験は加味されていません。丁度4年にわたって繰り返された新型コロナへの対応と同じように、「ちょっときつめにいっておいた方が間違いないだろう」という雰囲気なのです。確かに昔は体温を超えるような気温はあまりなかったように思いますが、みんな普通に日なたで仕事や運動をしていました。おまけに「水を飲むとばてる」という迷信があって、運動が終わるまで水は飲ませてくれませんでした。それでもばてて寝そべっている奴はいても、病院に運んで行った記憶はありません。中学、高校とクラブ活動でバスケットボールをしていましたが、屋外グランドで練習していたので、全身こげ茶色に日焼けして、練習が終われば体には塩の結晶が出来ていました。
近年の大阪の最低気温は、今年の実績でも27度以上の日が連日続いています。昔、貨物航空で働いていた頃は夜中に飛ぶことが多かったのですが、深夜に成田を離陸して東南アジアに向かうと、朝5時か6時ころに目的地に着陸することになります。その時の温度はシンガポールでもバンコックでも決まって24度Cでした。この温度は今考えると「かなり過ごしやすい気温」ではないでしょうか。今インバウンド需要とかで東南アジアから日本に来る観光客は日本の夏のあまりの高温に面食らっているに違いありません。
夏の気温について考えているうちに、昔のことを少し思い出しました。北米では、アンカレッジ、サンフランシスコ、ニューヨークは仕事でよく行っていた街です。この中では夏に一番気温が低いのはサンフランシスコでした。アメリカ西海岸にはカリフォルニア海流という寒流がシアトル沖からサンフランシスコの沖に流れています。日本でいえば三陸沖の親潮のような、寒流です。この冷たい海流が、海霧を伴ってベイエリアに流れ込んできます。この冷たい空気は真夏でもひんやりとしていて、夜になると決まって12度Cまで下がります。サンフランシスコの夏は、昼間こそ夏の強い日差しで20度を超える快適な気温になりますが、夕方には急激に温度が下がってきます。食事を終えてホテルに帰るころには12度になっているので、上着を持っていくのを忘れると寒い思いをすることになります。
7月と8月の夜の気温ではアラスカのアンカレッジよりもサンフランシスコの方が寒いということは、実際に経験しないと理解できないことでしょう。一方、ワシントンやニューヨークはというと、これが実に変化が激しくて決まった温度というのはありません。熱波に襲われると30度を超えてしまうし、寒気が入って来るとドーンと下がります。気候的にはアメリカ東海岸は良いところとは言えません。グダグダ言いながら今月も涼しくなるのを待っていましたが、熱波で西国街道へ出ることはできませんでした。今は台風10号が不穏な動きをしています。無事にやり過ごせばいいのですが。