2度目のブラジル 写真集その3
― パンタナールの農場に棲息する動物達 ―
大農場に到着して、まずは本業の牧畜を営む、すごく勤勉なカウボーイの仕事ぶりを見せていただきました。今回はこの広大な(10キロ×15キロの広さ)牧場に棲息する動物や鳥たちに接近していきたいと思います。これが何と言いましょうか、「まるでサファリ・パーク」なのでした。牧場というよりは、「沢山の動物たちの縄張りの中で、邪魔にならないように、1万頭の牛を飼う」といった感じでしょうか。
牧場は、パンタナール大湿原の南東部にあります。日本の本州ほどある広さの湿原の中で、ほぼ端っこにあるということは雨季になっても何とか水と折り合いをつけて牛を飼うことができるということなのでしょう。牧場の中を流れる川ははるか西に流れて大河パラグアイ川に合流して、そこから南に折れて大西洋に注ぎます。つまり、この大湿原はアマゾン水系とは別の水系だということです。5月になって、丁度水が引き始めたパンタナールで動物たちを探してみることにしました。
私たちの世話係兼運転手のペドロ君が茂みの中でアルマジロを捕まえてぶら下げてきました。アルマジロは観念して死んだふりをしていました。ひとしきり観察して放してやると、ごそごそと藪の中へ歩いて帰って行きました。
今度は大アリクイが歩いてきました。体長は2メートルぐらいで、長い鼻とごわごわの体毛に覆われていて、結構迫力がありました。食べ物はその名の通りの白アリで、巨体を維持するのに十分な量の蟻塚がこの辺りにはあります。長い舌を蟻塚に突っ込んでシロアリを食べてしまうそうです。
突然走り出てきたノブタの群れ。にわかカメラマンは慌てて姿を追いかけますが、シャッターはいつも遅れ気味です。猪と違って、向かってくることはないようなので安心です。鹿はつぶらな瞳をこちらに向けてじっと見ています。しばらくして、ゆっくりと歩いて行きました。
パンタナールに棲息する動物で最も普通に見ることができるのが鰐です。パラグアイ・カイマンという種類で、別名メガネ鰐、大きさは3メートル未満で小型ですが、そこら中にゴロゴロしています。昼間は日向ぼっこと決めているのか、ほとんど動きません。草原で存在を誇示するかのように長い尻尾を立てているのはハナクマです。わざわざ目立つようにするのは、何か理由があるはずですがよくわかりません。
小型のダチョウのエミュが居ました。エミュのメスはとんでもない奴で、つがいになって卵を産むとあとの世話はオスに全部任せて、自分は別の新しいオスのところに行くという所業を繰り返すそうです。穴掘りフクロウが自分で作った巣穴に立って周囲を警戒しています。フクロウと言いながらも昼間に行動するのでしょうか?
鷲が牧場の柵にとまって羽を乾かしています。鵜などもよく見せるポーズですが、鷲のほうがなんとなく恰好がいいと思います。隣の鳥は黒コンドルで、食べ物があると大群となって集まってきて騒ぎます。あまり感じのいい鳥ではありません。
スミレコンゴウインコは、インコの種類では最大の鳥です。万力のような口で椰子の実をかみ砕いて食べます。試しにこの椰子の実を金槌でたたいてみましたが割れませんでした。美しく長い羽根を目当てに乱獲されましたが、近年は保護されていて徐々に増えているということです。
突如大きな赤い鳥が飛び立ちました。ベニコンゴウインコです。スミレコンゴウインコよりは少し小型です。赤い色と空色の羽根をひらめかせて飛んでいきました。ヤマセミは水上でじっと小魚が近づくのを待っています。パンタナール、アマゾンに普通にいますが、体長は20センチぐらいの鳥です。
広大な牧場にはまだまだたくさんの動物がいるようです。たとえばオンサ(ジャガー)、大蛇などですが残念ながらお目にはかかれませんでした。次回は圧巻の鳥群舞の写真をお見せします。