2度目のブラジル 写真集その2

      ― パンタナールの大牧場に滞在する ―

 ボニートからホテルに戻りこの日はそのまま休養しました。翌朝車で出発して、途中で青い地下水が神秘的な雰囲気を醸し出している鍾乳洞を見学しました。その後も田舎の泥道を延々とドライブして小さな町に入り、飛行場らしきところに行くと、小型機が待っていました。ここから40分ほど飛んだところにある牧場が目的地のようでした。この辺りの大牧場は自前の飛行機と滑走路を持っているのです。いよいよ雨季の終わったパンタナール大湿原を体験するのですが、滞在先が大牧場のコッテージということで、交通手段は軽飛行機となったようでした。
 飛行機は離陸してすぐにパンタナールの湿地上空に出て、低空飛行で我々を楽しませてくれました。あっという間に今回滞在する牧場に到着しました。芝生の滑走路は十分な長さがありました。迎えてくれたマダムが流暢な英語で牧場の説明をしてくれました。広さ10キロ×15キロの牧場には1万頭の牛がいて、それを20人の牧童が管理しているという話でした。今回はまず、かっこいいカウボーイの仕事ぶりを写真でお見せしましょう。


 カウボーイの仕事風景を見物に連れて行ってもらいました。この日は牛たちに塩などを食べさせてミネラル分を補給する仕事だそうで、カウボーイが牛をある程度まとめて柵の中に集めて来ます。そして飼料を与えるわけですが、牛たちも身体が欲しているのか、自発的に塩を舐めに集まってきます。




 こういった機会に牛の健康状態も観察します。けがをした牛を発見した場合はすぐさま治療のために捕獲して手当します。この時にカウボーイの本領発揮となり、逃げる牛を馬で追いかけて投げ縄で捕まえるのです。その後薬を塗って手当は終了となります。現代のカウボーイの装備は、左腰に拳銃を吊り、反対側には大型ナイフと棒やすりを挟んでいます。拳銃は突然野生動物に遭遇した時の護身のために持っているとのことでした。


 パンタナールの道路を車で走っていると、移動中の牛の群れによく遭遇します。放牧地間の移動だったり、食肉工場への出荷だったり、様々な理由で牛の群れが道路を占拠して動き、前にも言ったことですが、車が立ち往生する事態になります。牛を追うのがカウボーイの主な仕事です。立ち止まったり、突然反対方向に走りだしそうな牛を見事なチームワークで誘導していきます。普通に考えれば牛をトラックにのせて運べばいいと思うでしょうが、パンタナールでは、カウボーイが馬で追いながら、牛に自分で歩いてもらうのが一番合理的な方法のようです。


 大牧場に滞在してカウボーイの仕事のほんの一部を見せてもらいましたが、パンタナールの大湿原での牧畜に適応したやり方のようでした。毎年の雨の降り方でまるで状況が変ってしまう大自然の中で、1万頭の牛を20人で放牧するのですから、苦労もあるでしょうが、やりがいもあることでしょう。