老人の昔語り その8

      ― アマゾン河口の街ベレンと古都サルバドールの風景 ―

 私たちは、アマゾン中流のマナウスからほぼ赤道に沿って東へ1600キロ飛んで、アマゾン河口の街パラ州ベレンに到着しました。ベレンは、大西洋から深く切れ込んだマラジョー湾の奥にあり、まだ海というよりは川の下流といった位置にあります。ほぼ赤道上にあるアマゾン本流からはわずかに南にある大都会でした。パラ州の州都ということですが、パラ州だけで日本の面積の4倍あるということです。旅行会社の社長さんで、今回のガイド役を務めてくれるキタジマさんに空港で会って、宿舎のベレン・ヒルトン・ホテルにチェックインしました。




 街の大通りの街路樹はマンゴーの巨木でした。無数の実がなっていました。実が硬いときに風が吹くと落ちて、下の車に当たって難儀するそうです。都会の建物と熱帯の市場の風景が混在していました。ホテルから坂道を下って行くと、大きな市場があり、この町にアマゾン全域から物が集まっているような感じでした。






 カラフルな果物屋さんでは、真っ赤なアセロラの実を売っていました。ソーセージを売っている肉屋、怪しげな薬瓶がぶら下がってる薬屋があり、籠に入ったカニが逃げ出さないようにひたすら追いかけている兄さんが居たりと、興味は尽きませんでした。奥には魚市場があり、マナウスで見たのと同じような大きな川魚がずらりと並んでいました。


 市場の前のバス停らしきところでは、人々が道路にはみ出して屯しているので、バスも適当に停車して乗降していました。市内の中心部にある宝石博物館に行ってみました。アマゾンと言えば宝石の原石がゴロゴロしているようなイメージがあります。この博物館は元監獄だったそうで、宝石はもちろんのこと、その当時使っていた設備(獄舎、足枷など)も展示していました。どうして監獄と宝石が結びついたのかはわかりません。


 ポルトガルの植民地時代の砲台があり、大砲が入江に向かって並んでいました。今のブラジル海軍はマングローブの林の中に植物園を作って観光客からお金を稼いでいました。真っ赤な朱鷺、ショウジョウトキ、固まってしまったように動かないイグアナ、大きなオームなどが熱帯の雰囲気を醸し出していました。




 2泊3日をベレンで過ごして、次なる目的地サルバドールへ飛びました。ベレンから南へ飛行機で一時間あまりの距離にある、大西洋に面したブラジルの最初の首都です。アマゾンやベレンの茶色の水ばかり見ていた我々の目に、大西洋の澄んだ水色の海は実にみずみずしく映りました。ガイドさんに連れられて海辺のリゾートホテルにチェックインした後で町を散策しました。






 古い街並みは坂道に石造りの家が並んでいて、ヨーロッパの街の雰囲気と似ていました。大西洋の対岸にはアフリカ大陸があり、この町には奴隷として沢山の黒人が連れてこられたそうです。相当年季の入ったカトリック教会がありました。我々はここで一泊して、最後の訪問地リオデジャネイロに向かったのでした。