老人の昔語り その6
― ブラジル旅行から10年 パンタナールの思い出 ―
10年前にここに掲載したブラジル旅日記は文章が中心の旅行記でした。今回は、写真の説明を中心にして、前回に掲載しきれなかった写真を見ながら、話を進めていきたいと思います。イグアスの滝に圧倒されて、まだお腹に大瀑布の響きが残っているようでしたが、翌日は早起きして6時の便に乗って、マットグロッソ州クイアバまで移動しなければなりませんでした。イグアスの空港を出発して、まずは昨日臨時着陸となったクリチバに向かいました。乗り継ぎ待ちのあと、カンポ・グランジというところ経由でクイアバに向かうようです。クイアバの南に広がるのが今日の目的地パンタナール大湿原です。飛行機は順調に飛行して昼頃にクイアバの空港に着陸しました。ここでガイドの日本人ヤマシタさんと落ち合って、運転手を入れて5人のグループが出来上がりました。
5人が乗ったSUVは、まずは町のシュラスコ屋に立ち寄って腹ごしらえをしました。さすがに牧畜の本場クイアバの肉は美味でした。ここから今日の宿泊場所のパンタナール・マット・グロッソ ホテルまでは160キロメートルあるそうですが、途中のポコーネという町からは舗装が無いので時間がかかるとのことでした。
町を出てからは牧場が広がって来て、道路は一直線となってきました。100キロ位走ったところで舗装道路は終了となり、そこにパンタナールの入り口を示すゲートがありました。これより南は国立公園となるようです。延々と牧場と湿地が続くのみでした。でこぼこ道のせいでスピードが出せず、20キロがせいぜいののろのろ運転で、ときたま動物や鳥を見つけたら急停止して見物しながら進んでいきました。
インコは群れで大アパートを作ります。ヤシの木に作るのはまだいいとして、電信柱にも作るので停電の原因になるようです。乾季の終わりの湿原には水の残っている所に鰐や鹿、大カワウソ、沢山の鳥たちなどが集まっているようです。
色鮮やかな鳥たちがホテルのえさ場に集まってきます。大湿原にポツンと建つホテルで泊まりました。翌日は近くといっても20キロは離れている隣の農場を訪れて、お馬のけいこ、ボートに乗ってピラニア釣りなどを楽しみました。
かまど鳥はツバメの巣よりははるかに立派な泥を固めたかまどのような形の巣を作ります。ホテルの船着き場には、毎年の雨季の最高水位がペンキで記録されています。年によってばらつきがありますが、2メートルほどの幅に収まっているようでした。今は乾季の終わりで川が水たまりのようになっています。早朝に外を見ると、
カピバラの群れがのそのそと動いていました。普段は10頭ぐらいの群れで生活しているようです。
ホテルの裏の原っぱに2本のわだちの跡がのびていました。ちょっと見では道路のようですが、このホテルの滑走路だとのことです。なる程、小型機なら何とか離着陸できそうです。ヤシの木が完全にオカメインコの巣で鳥のアパートのようになっています。道端の木を切ってみると、中から蟻がぞろぞろ這い出してきました。ヤマシタさんの話では、毒蟻でかまれると熱が出るそうです。日本でヒアリがニュースになったのはこの数年後のことでした。ホテルの船着き場にはいつもメガネカイマンという種類の鰐が寝そべっています。観光客が釣ってきたピラニアなどを投げてもらおうと待っているとのことでした。確かに自分で魚を捕まえるよりもずっと楽ですよね。巨大な蟻塚が並んでいました。ポコーネの村ではお祭りでもしているのか、馬に乗った人々が集まっていました。丁度乾季の終わりに訪問したので、すっかり水の引いたパンタナールを堪能しました。我々はパンタナール・マット・グロッソ ホテルに3日間滞在して、一旦はサンパウロに引き上げたのでした。