遊戯王能力デュエル小説

これまでのアクセス アクセスカウンター
本日のアクセス アクセスカウンター
image


トップ  まえがき  リンク集


〜プロローグ〜

 郊外にある研究施設の一室で、1枚のカードを片手に震える白衣姿の老人がいた。
その表情は歓喜とも、悲哀とも、困惑ともとれるなんとも言えないものだったが、老人はカードを見つめていた目をギュッと閉じると、こう言った。
「ついに・・・ついに完成してしまった。ワシの理論は正しかった。しかし、これを世に出して良いものか・・・」
それは老人の強い思いがこぼれただけの、ただの一人言であり、部屋には老人のほか誰もいないはずだった。
しかし、その言葉に答える声があった。
「博士、その発明は素晴らしい。是非、日本の未来に役立てるべきです」
その声の主は、いつの間にか老人の背後に立っていた。
黒いタキシードに身を包んだその男が、目深にかぶったシルクハットの下から笑みを覗かせつつ博士と呼ばれた老人に歩み寄る。
「早速、テストの場を設けましょう。早いほうが良いですな。対象は・・・」
「っ貴様、どこから入ったっ!?」
タキシード姿の男から逃げるように、白衣姿の老人が飛び退く。
タキシード姿の男は一瞬困ったような表情を見せたが、すぐに笑みを戻すと、
「これは失礼、自己紹介がまだでしたね。私、こう言うものです」
と述べながら名刺を差し出した。
白衣姿の老人、斎原征十郎(さいばら せいじゅうろう)と、タキシードの男、飛山夢人(とびやま むと)の邂逅が、 この物語の始まりとなる。


トップへ戻る 第1話へ