パイプタバコの知識

おことわり
 現在のように多国籍にわたるメーカーでの製造では厳密に分ける事は難しい。よってここでは
 定説となっている?説明をしています。


1、パイプ煙草の製造方法

 メーカーにより様々な加工工程や加香工程がある。
 ブレンディングに合わせてこれらは企業秘密となっておりここでは一般的な方法を各段階を追って述べる。
 葉タバコは、加熱室を通り水分をほとんど失った後冷却室を経て調湿室に入る。
 ここで調節され一定量の水分が再び与えられる。その後木製の樽に入れられ倉庫で約2年間熟成期間を
 過ごす。自然の発酵作用を受け化学的な変化にて複雑な香味成分等が創られまろやかで
 甘い香味を持つようになる。
黄色種熱乾燥後

黄色種トースト後

黄色種ロースト後
 熟成を経た葉タバコは製造工場で樽のまま真空調湿器にて真空にした直後に
 生蒸気が樽の中に送りこまれ葉タバコに一定の水分が平均に与えられる。
 これは熟成期間を経たままの葉タバコは乾いていて脆く非常に
 扱いにくいために行われる。これにより各処理工程の条件がよくなるのである。
 柔らかくなった様々の種類・等級の葉タバコはここでブレンドに
 必要な正確な量が計られる。販売される個々の製品が一定の喫味品質を保つ為には
 ブレンドが完全に均一化される必要がある。

 計量された煙草は大型の回転シリンダー(ミキシングドラム)に入れられゆるやかな
 回転にて完全にミックスする。
 ミキシングドラムの中にはノズルが付いておりそれを通じて回転ミックスされる
 葉タバコにケーシング・ソースやフレーバーが加えられる。
 トーストやロースト処理、ディッピング処理(ソースの葉タバコを浸す事)、
 加熱、加圧処理が施されるのはこの段階の前後で銘柄により加工工程に
 違いがありこの工程は極めて複雑であり又品質管理上もっとも重要な段階である。
 次ぎに堆積サイロ、堆積箱に送られ堆積調和される。
 ここでは1・2日間蔵置される事になっている。
 この期間に葉タバコは吸湿性の強い性格を発揮し ブレンドされた種類、等級の
 特徴やソース、香料を吸収し合い同一の味、香り、燃焼性を持つ。
 それと同時に銘柄特有の喫味をつくり上げる。
 こうしてブレンドされた葉タバコは裁断工程でカットされ仕上げの
 香味工程(トップドレッシング)を通り包装工程を得て製品が出来上がる。
 但し銘柄により加工工程、裁断工程を別々に経た物が刻みでブレンドされ
 包装する場合もあり銘柄によりこの工程の違いがある。
 製造工場内では常に水分管理を行っており一定品質の物を送りだすように努めている。

2、煙草の香料
 煙草への香料添加は原料葉タバコのブレンドと共に行われる。香料の種類、加香方法なども国や
 メーカーにより異なる。ここでも企業秘密があるので一般的な加香方法を述べる。
 一般的に香料は、3段階に分けて香料が添加される。
 それぞれの段階で使用される調合された香料を第1ケーシング・ソース
 第2ケーシングソース(又はフレーバリングソース) トップドレッシングと言う。
 第2ケーシングソースは、フレーバリングソースとも呼ばれ各々銘柄特有の味と香りを与える。
 この時ソースには定着剤が使われる。その煙草の味そのものを決定する大事な工程でもある。
 第1・第2ケーシングソースはいずれも葉が刻まれる前に行われる。
 銘柄によりスプレー方式や浸漬方式などがある。
 トップドレッシングは刻まれて包装する前に行われる仕上げフレーバリングでもあり
 製品本来の香りを持続させる意味合いでも行われる。
 原材料葉の中にはソースを吸収し易い葉とそうでない葉があり 黄色種は吸収しにくい
 反対にバーレー葉は吸収し易い。

3、煙草のタイプ
 煙草のタイプには明確な分岐があるわけではないのですが大きく分けると3つになります。
 
それぞれの特徴をあげておきます。

イギリスタイプ
 原料は、アメリカ産、アフリカ産、インド産の黄色種、
原則してバーレー葉は使用しない
 オリエント、ペリック、
ラタキアなどが用いられる。
 ブレンドの割合は黄色種10%〜40%以上は必ず用いられる。
 香料はイギリス国内では法律で厳しく制限されていた時代があり
 1960年台初頭くらいで緩和されかなり多くの香料を使った銘柄も販売されはじめた。
 加工処理も蒸気で蒸したり圧搾したり ローストしたりする工程が多く
 原料葉煙草の持ち味を増長・軽減・変化させ喫味を創り
 葉煙草の生地の香味を生かすように仕上げるのがイギリスタイプの特徴といえる。
 葉タバコの芳香な香りと重厚な深み、コクと旨みに富み煙草らしさがある銘柄も多い。
 反面火付きや火持ちが難しく味も一般的は強く初心者には馴染みにくい所もある。
 ラットレーやダンヒルなど香料が厳しく規制されていた時代に作られた煙草を燻らせ
 20世紀初頭のイギリスに思いをはせるのも又パイプの醍醐味でもある。
 代表的な銘柄としてはダンヒルの965ミクスチャー(ラタキア)が有名である。

アメリカタイプ
 主としてバーレー種を使用 黄色種、オリエント、ラタキア、ペリック等が用いられる。
 ブレンドされる割合はバーレー種100% ストレートバーレブレンドとも言われるものから
 少ないもので45%以上が必ず用いられたブレンドが特徴
 バーレー種はケーシング・ソースを受け易いのでアメリカタイプの物にはかなり大量の香料が
 用いられた物が多い。
 チェリー、チョコレート、メイプル、ライム、ミントなどが用いられるが銘柄により各種独特な
 香料が使われている。加工処理方法も原料葉にケーシングソース(香料)を吸収させる所に
 重点が置かれ ディッピング、トースト処理等が多い。
 原料葉と香料をうまく調和させて創り上げるところが特徴である。
 刻み幅は2.5mmから4mmぐらいの物までありキューブかグラニューテッドカットが多い。
 水分は一般的には低く13%〜16%くらいである。
 アメリカタイプは香料臭が葉タバコにマッチした比較的緩和で軽快な物が多いのも特徴で
 反面ライト(軽い)志向のため煙草の旨みに乏しいところもある。
 燃焼性がよく 味も軽いので初心者には馴染みやすいタイプといえるのではないかと思う。
 ペリックは、アメリカでのみ生産されています。下記ペリック葉の紹介参照
 代表的な銘柄として、ハーフ&ハーフとかケンタッキーバード等
 
ヨーロッパタイプ
 多用される原料葉煙草は、アメリカ・アフリカ・カナダ・インド等の黄色種やバーレー種
 オリエント葉、葉巻種等 数多くの葉タバコをブレンドしイギリスタイプと同様に葉煙草の香味を
 生かそうとしている。
 アメリカタイプの様にバーレー種をベース、イギリスタイプの黄色種をベースにしたような
 特徴はない。
 香料もアメリカタイプの様に多くスチーミング処理(蒸気で煙草を蒸す)、加熱加工処理等
 ほどこされ葉タバコの生地を生かしながら香料によってその香味をさらに調和した物が多い
 刻み幅はジャグと呼ばれる0.3mmから2mmまでの物まである。
 オランダやデンマークでは自国の輸出用タバコのタイプをキャベンディッシュタイプと呼んでいる。
 香味と生地との香りを美味く調和させたものが多くイギリス・アメリカの両者の美味い所取り
 と言ってもいいだろう。

煙草葉の種類(基礎知識)

パイプ煙草に使われる葉にも種類があります。これの配合比率で煙草の味が左右されます。
ブレンダーといわれる方々は、この配合をいろいろと組み合わせして美味しい煙草を作っています。
煙草は、煙草属植物の葉です。ナス、トマト、唐辛子などと同じ科に属します。
今現在分かっているだけで50種以上あるそうです。
煙草は、ニコチアナ・タバカムとニコチアナ・ルスチカの2種で1年生草木です。

黄色種(バージニア)
  

 
葉タバコの代名詞の様にいわれる葉タバコである。
1612年にインディアンの王女ポカホンタスの夫である白人ジョンロルフがアメリカの
バージニア州で初めて栽培を開始したといわれている。
さしずめタバコのアダムとイヴと言った所か
現在では多くの国で栽培されており長楕円形の比較的強度のある葉質 やや重めの吸湿性がある
中肉の葉タバコで 通常バージニア・ブライトと呼ばれる明るいレモン色をしている。
喫味としては甘みを帯た香りが高く、甘み うまみのある香喫味をもっている。
産地により品質に差があるが アメリカのバージニア州を中心とする地域の物が
もっとも良質と言われている。

バーレー葉
 




1866年にUSAオハイオ州において突然変異種から改良育成されたもの
世界各地で栽培されています。
バーレー種のほとんどは納屋等につるして自然乾燥(空気乾燥)されます。
色は褐色 独特の芳香と旨みのある軽快な喫味が特徴

バーレー種は空気乾燥された葉タバコと思ってもよい
葉形は長楕円で葉質は薄肉中肉で軽く 多孔質で膨張性に富み
香料の吸湿性が良い


オリエント葉

       ギリシャ産                トルコ産




別名トルコ葉と呼ばれ トルコを中心にギリシャ、ユーゴ、ブルガリア、イタリア等の地域で
栽培されています。オリエント葉は空気乾燥により黄緑色から黄褐色に仕上げられる。
かなり小型の葉で樹脂分が多く膨張性 燃焼性に富む
糖臭を伴う優雅な芳香と緩和な甘みがある。
ニコチン成分は非常に低くマイルドである。

加工葉といわれている煙草葉

ラタキア


ラタキアは、今から約100年前北部シリアで偶然うまれたそうです。
ラクダの糞を含む燃料で燻されて強い香りと色を持つようになり。
それがラタキア地方であった為ラタキアと呼ぶようになったそうです。
原料はオリエント葉
シリアで作られるラタキアはシェク・エル・ビントと言われる
オリエント葉を日干し乾燥して貯蔵所にいれ 13週間から15週間燻し続ける。
燃料は草木類だが燃料によって味が左右される。
現在はキプロス島でも生産されています。
キプロスで生産されているラタキアはスルミナといわれるオリエント葉が
原料葉である。
燃料としては灌木、松、その他香りの良い木を配合して燻される。
喫煙味は甘みのある特有の燻製様芳香で緩和な旨みのある
軽快な喫味で燃焼性は緩慢でブレンドのスパイスとして使われています。
イギリスタイプでは香料の規制が厳しいのでこの煙草を大量に使用する為
イングリッシュミクスチャーというジャンルが出来たのでしょうね。

ペリック



リックは、アメリカがイギリスの植民地であった頃
ネイティブアメリカンがおこなっていた加工方を
フランス人のピエール・シュネーが発見し今日にいたりました。
シュネーがルイジアナ州ニューオリンズ郊外のセント・ジェームズパリッシュと
知られる地域に迷いこみ そこでネイテェブアメリカンのチョクトウ族と
チカソウ族が窪んだ丸太に中で葉タバコを汁まがでるまで圧縮し加工している
のを見ました。
その絞り汁に浸し発酵させたタバコが他のどんなタバコとも異なり
際立って甘く香りを持っているのに気が付いたのが始まりといわれています。
ペリックとはピエール・シュネーのニックネームにちなんで着けられたと
言われています。原料葉はバーレー・タイプですが特殊な位置を占めています。
この葉タバコは、ニューオリンズの西約50マイルのの小さな三角地のみ
生育するそうです。
収穫してから1〜2週間乾燥室で自然乾燥されます。
しおれて黄色かかった頃に樽詰めされて加圧されます。
そして黒色に変化するまで加圧醗酵させるので煙草の漬物ともいわれています。
青みを帯びた黒色で比較的水分が多いそうです。甘酸様芳香があり
旨みとコクのやや強いアクセントのある喫味です。

キャベンディッシュ




キャベンディッシュは、ウィリアム・キャベンディッシュ卿が1660年頃に
この種類の煙草を開発したとき、彼の名にちなんでつけられた。
とまことしやかな説があるけど 定かではありません。多分取ってつけたのかな!
1660年にケーシング技術が確立していたとはおかしな話だ。
イギリス、アメリカ、ヨーロッパで作り方が違うそうで
イギリスのは熱風乾燥したヴァージニア葉のみ使う。
型にいれ圧縮し3,4日置くと糖分を染み出させた物と
ブラックキャベンディッシュは、葉を蒸気でむして型で圧縮しケーシングした物が
あるそうです。
アメリカの原材料葉は、黄緑種、バーレー、メリーランド種などその他の種類の
煙草を使います。人口香料などの甘味料を多量に使い加香しますが、
加香料を十分煙草に浸透させる為加圧するのが特徴だそうです。
香料を十分に浸み込ませる為、前処理でトースト、ロースト、スチーミングなどを
行う工夫もされているようです。
特徴は、いろいろな甘いだの フルーティだのの味でしょうね。原材料葉の
味わいをほとんどなくす強引な方法で粗悪な葉が使われる事もあるようです。
ヨーロッパのは、葉を蒸してからケーシングを行うようでその後型に入れて
圧縮しカットするようです。

煙草のカットについて

  パイプ煙草では葉っぱのカット方法が数種類あり、またカット方法により味わいが変わります。
  代表的なカットを記述します。

コースカット

リボンカット


ブロードカットもコースカットの範疇になります。
不規則で粗々しい刻み。
又はラフカットともいいます。
刻み幅が2〜3ミリで長さが2〜3センチある
細いリボン状になっている刻み
ヴァージニアやキャベンディッシュに多くみられます。

グラニュレイテッドカット

ブロークンフレーク



四角形の形をしてます。 フレイクをある程度ばらした物

フレイク

キューブカット

葉タバコに圧力をかけて板状にした物
それをケーキといいますがそれを
薄くスライスした物をいいます。
よくもみ解してパイプに詰めます。
煙草の表記にREADY RUBBEDと
書いてあればすでにもみ解されている
煙草になります。
煙草はバーレー
2〜3ミリのサイコロ状になっています。

クランブルケーキ

ファインカット

ブロック状になっている物
コースカットの状態が多くそれを加圧して
ブロック状にした物
先端から崩すようにばらす。
手巻き用のシガッレトの刻み
パイプにおいても火皿の小さい物で
喫煙可能

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