井げたのマークをこの地に
にわ山展望台(標高198m)から望む空知平野。
現在の人口は5,600人。炭鉱最盛期の昭和35年には18,000人を記録した。
この展望台は春には4,000本の桜が咲く、憩いの頂だ。
展望台脇からノースフェイスを下る。
この付近にかつて坑口があったようだが、
現在痕跡は見つけられない。
展望台の下部にはなだらかな空き地がある。
1974年の衛星写真では付近に遺構がある。
少し進んでみよう。
足元には直ぐにレイルの遺構があった。
これは炭鉱跡地の痕跡で間違いない。
ここでは水選機があったとの記録がある。
レイルの高さは64mm程度なので、おそらく9kg級だろう。
レイルの規格は1m当たりの重さを言う。
高さが51mmが6kg級、JR線などでは40〜50kg級などが使用される。
エゾタヌキの亡骸である。
廃坑ではよく動物の亡骸がある。
エゾシカにキタキツネ、コウモリなどである。
その先には広大な荒れ地が広がり、
奥には何やら構造物が見える。
ドラム缶は後の廃棄物のようだ。
構造物は選炭場から繋がる積込施設のようだ。
選炭とは採掘した原炭から不要鉱物を取り除き、
大きさを塊・粒・粉などにグループ分け、またブレンドし市場性付加価値に仕上げる工程だ。
RC造の施設は上質のコンクリートなのか劣化は酷くない。
石炭は鉱石と違って比較的大きい粒度で分類できるのが特徴だ。
また粉状にならない方が商品価値も高い。
それでは積込ビンの内部へ入ってみよう。
一般に選炭前の予備操作としては、
ふるい分け・予選・破砕等を行う。
ホッパー内部は所々埋没している。
原炭はふるい目70mmを境とするふるい分け機で分粒し、
大きい方は予選工程、小さい方は破砕・選別工程へ送られる。
周辺には木製の遺構も散乱している。
予選は一般に
「ブラッドフォードブレーカー」筒状穴あき鋼板の円筒部分が回転、内部で石炭部分を優先破砕、穴を通過させるを使用し
必要に応じて破砕機で選炭機に適した大きさに砕く。
閉山から50年以上、蔦の絡む廃祉。
水洗された石炭粉は14号用水路を流れ、排水路に沈殿したものは、
「沈粉」(ちんぷん)と呼ばれ、燃料が配給統制下にあった当時、貴重な暖房用燃料となった。
朝日を受けるホッパー跡。
山下公園付近など排水路には堰を設け、
沈殿粉を集積するのが当時の高校生のアルバイトだったようだ。
住友とのかかわりが深かった本坑は、
「井げた」の表示をこの地に残すという意向が残り、
現代の同財閥関連の電気会社工場の当町進出の伏線となったという。
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