崩落した支保工
今回あえて導入したLEDライト。
坑口から荒廃が想像される。
このライトの成果に救われることとなる。
坑口を入るや否やそこは水没しており、
空気は滞留し、深い闇となる。
足元に留意して進んでみよう。
入坑してすぐ坑口を振り返ると、そこは二股の交点であった。
隣接した坑口に見えたが、内部は1本に集約されていた。
入坑口と出坑口に分離されていたのかもしれない。
進むとすぐに密閉された扉がある。
通常赤い扉は火薬庫を想像させるが、
これはただのプライマー色だろう。
壁際には配管が有り、ソレノイドかセンサーのような部品がある。
チーズやフランジで繋がれた配管は40A程度で、
何らかの流体を流していたようだ。
隧道の壁には何かを吊るした治具が固定されている。
碍子が無いことから架線ではなく、
被覆ケーブルが張っていたと思われる。
入坑した方でない坑口付近には、
朽ちたトロッコが横転している。
これは木製で資料にある60台の内の一台かもしれない。
隧道の天井には夥しい量のコンクリート鍾乳石がぶら下がる。
またここには
「碍子」電線を支持物から絶縁するために用いられる主に釣鐘状の陶器
が天井からぶら下がり、
ある時代からはトロリーが走行していたかもしれない。
下部が水没した扉は施錠されておらず、
少しの労力で開くことができる。
更に内部へ進んでみよう。
ブロックによって密閉された壁。
これは閉山後に建設されたものだろう、
扉を開けた途端、滞留していた重い空気に圧倒される。
扉を抜けた向こう側は壊滅的な崩れ方をしている。
木製の
「支保工」断面積8平方m以下の小坑道は落盤防止のため坑木による枠を設置
が損傷して積み重なり、
これは死滅した坑道だ。
流れる水流は坑道の奥からでなく、
脇の地中パイプから湧水している。
水温は8.9℃と温泉ではなく、地下の含水層からの揚水のようだ。
完全廃道の坑道は奥へ続いている。
しかし、坑木は更に崩れて帯び重なっている。
安全に配慮しながら進んでみよう。
崩れた支保工を縫って進む。
約30mほど進んだが状況はさらに悪化している。
支保工には合掌枠・異形枠などがあるが、その形状も解らないほどの損傷だ。
盤圧から坑道断面積の減少を防止したり、
落盤から作業者や施設を保護するのが支保の役目だが、
今はもうその機能を果たしていない。
その先数mで坑道は水没する。
ここでsurvival氏から撤退の一言がある。
坑道はその先も続くが、ここで折り返す。
先ほどの赤扉の上部には「扉を閉めよ」の銘板が。
つまり、鉱山が営業していた時期にこの扉は存在していたこととなる。
昭和40年代以前に誰かが描いた達筆な文字だ。
水平坑道地並以上の区域の鉱石、融水は重力で横坑に集約される。
自然廃水に便利なように150〜1000パーミルの傾斜をつけることもある。
荒廃激しい坑道は、なぜか探索時間の感覚が麻痺してしまう。
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