坑道に差し込む一陣の光




ニセコの中腹から望む岩内・共和町方面。
紅葉最前線の10月の山並みである。
後志は「北海道の縮図」と言われ、火山型の地形や生産物など、複雑な複合要素が所以とされる。 共和町

国富鉱山は当時、本道唯一の乾式精錬所であり、
銅の他にビスマス、硫酸などを生産している。
鉛・銅の併行精錬、昭和34年には発生する転炉煙灰捕集も行ったが今は操業を停止している。 国富鉱山

堰の沢に向かいダートを走る。
付近もかつての国富鉱山の敷地であり、
建築物があったであろう荒れ地が点在する。 堰の沢


やがて沢が分岐すると、
そこからは草生した廃道となる。
標高は現在200m付近だが、目指す鉱山跡は300m付近である。 廃道


巨大な砂防ダムがある。
その規模は大きく堤頂を超えるのに、
10分以上かかってしまった。 砂防ダム


ダムを超えるといよいよ道は無くなり、
ここからは沢沿いに遡上することとなる。
藪の無い沢沿いは歩き易いが、目的地から逸れることも多いので注意が必要だ。 沢登り


苔むした岩場を登る。
こういった場所ではフェルト貼りの靴が有効だ。
全く鉱山跡の痕跡はなく、この上流域に存在するのか不安になる。 苔


そして小さな滝である。
ここは右岸を巻き、登攀する。
滝壺の水深は深く、腿まである。 滝


40分程度登ると、左岸に石垣の跡である。
これは間違いなく人工物だ。
いよいよ近いのかもしれない。 石垣


そして沢から少しそれたところに第一の坑口を発見。
完全水没しているが、
人工的な坑門である。 坑口


坑道はすぐに埋没し、
夥しい落ち葉で埋没している。
しかも硫黄臭気があり、竪抗か斜坑のようなものかもしれない。 坑道


坑口の岩場には鳥の巣がある。
現在は住人はいなかったが、
ここで鳥の子育てがあったならそれも面白い。 鳥の巣


鉱山跡にありがちな酒瓶が落ちている。
これは当時のもので間違いない。
更に遡る。 酒瓶




付近に水槽のような竪抗がある。
相当な深さがあるようで、
囲まれた支保工が内部へ続く。 竪抗



しばらく登ると岩の亀裂のような第三の坑口である。
ここは大きく崩れたらしく、
それでは入坑してみよう。 坑口


入坑するや否や完全水没であり、
その深さも泳ぐつもりでないと入坑できない。
鍾乳石も伸びている。 坑道


更に50mほど登ると三度坑口である。
仮に第四坑口とするが、
ここは独特の臭気もなく、赤い沢も見えない。 坑口


近づくとそこそこの大きさの坑口であった。
他の坑口と並び水没し、夥しい水流がある。
落ち葉が深く坑口までは底なし沼の様相だ。 第四坑口


水路のような坑道は内部で三路に分岐する。
左の坑道には支保工が見え、
なぜかそこには一陣の光が差している。 坑内分岐


第四坑口から上流30mで下部に伸びる第五坑口である。
坑内は荒れている。
恐らく下部の第四坑口と接続しているはずだ。 第五坑口


第五坑口に入坑する。
足元からは水流音が聞こえる。
登れるか留意しながらの下降である。 下降


脚下には地底川が見える。
なんとか下死点まで下ってみよう。
崩れないか注意しながら下る。 地底川


何とか下るとそこには朽ちた坑木である。
やはり第四坑口から見えた最右坑で間違いない。
ここも水流は激しく深い。 坑木


坑内の壁面にはキラキラ光る鉱床がある。
これをかつては掘り出していたのだ。
もう少し坑道を登ってみる。 鉱床


上部にはまたもや坑木が残存する。
小鉱山の域を出ないはずの本坑であるが、
遺構の残存度は非常に高かった。 支保工









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坑口
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