天空の古城




かつて積み出し駅として栄えた大岸駅。
今はその繁栄もなく、ひっそりとしている。 大岸駅

標高461Mのペタヌ山を望む。
畑と牧草地が広がり、
かつて鉱山があったことなど想像できない風景だ。 ペタヌ山



鉱山跡付近には街の教育委員会が掲げた看板がある。
鉱山と精錬所の略歴が簡単に記載されているが、
文字は劣化してほとんど読めない。


林道を歩き、山に入る。
ダブルトラックはあるものの、
道は荒れている。 林道

林道から外れて廃道の斜面を進む。
いきなり上部に遺構が見えた。
RC製の大きな構造物だ。 廃道

笹薮の中、静かに佇む廃祉。
すぐ近くだが、
藪に阻まれなかなか近づけない。 選鉱

接近すると大きい。
これは選鉱所手前のホッパーらしい。
架空索道で粗鉱舎まで採掘した鉱石を上げていたのだろう。 ホッパー

これが最上部の遺構で、
天守閣のようなものだ。
少し細かく探索する。 選鉱 選鉱



鉄筋コンクリート造のホッパー。
自動秤量機と共に
ドラムウォッシャーやブレーキクラッシャーがあったのかもしれない。 RC

柱の劣化は激しく、
一部鉄筋が露出している。 柱

階段の廃墟。
閉山から70年の経過がある。 階段

ここまでは粗鉱舎からベルトコンベヤーで運搬されていたようだ。
下部工を探索してみよう。 ホッパー

上部のホッパーから見下ろすと、
選鉱所の巨大な建物が見える。 選鉱所

選鉱所に最接近する。
ここで上鉱・並鉱・廃石に分離していたのだろう。 選鉱

選鉱所はかなり巨大で、
下部にさらに続く。 選鉱所

進むと長い溝と穴が現れた。
浮遊選鉱の一部だろうか。
落ち葉に覆われている。 穴


選鉱所の全景。
並鉱はここから全泥青化精錬か、
浮選に回されたようだ。 選鉱所


選鉱所の裏面は状態よく残存している。
鉱石を効率よく流すため、急角度だ。 裏面


落ち葉に埋もれてアンカーボルトが埋設されている。
これらRCの遺構の上部には、
かつて巨大なプラントとそれらを覆う屋根があったようだ。 穴

鉱石の吐出口。
付近にはズリが広がり、
しかし、もうここから鉱石が出てくることは無い。 鉱石


選鉱所の下部には大きな穴があり、
かつては搗鉱や残滓が流れ出ていたのかもしれない。 残滓


穴の中にはズリが折り重なる。
コンクリート鍾乳石が伸びる。 鍾乳石


精錬所の下部にも、
まだまだ遺構は続く。 下部


突然の池がある。
かなり深いようで、対岸の遺構を映しこむ。
青化精錬か浮選の跡だろう。 青化精錬


浮遊選鉱との併用かもしれないが、
5段程度の段差があるようだ。 浮遊選鉱


精錬施設は下流に行くに従って、
巨大化する。
直接下れず、何度も遠巻きする。 精錬施設


眼下には不思議な角度の池がいくつも点在する。
どの池も長方形で、
遺構の中で一定の角度がついている。 比重選鉱


この付近から、
一段の高さが高くなり、
簡単には下れない。 青化


相当下ったがまだまだ遺構は続く。
ここまで下れば、
汰粉精鉱と青金、鉱滓に分離されているだろう。 汰粉精鉱


不思議な池はトラップのように点在し、
非常に危ない。
木々や遺構を映す。

この付近まで下ると、
少し高低差が減少する。
太く育った木々が年月を語る。 遺構

遺構に絡む蔦。
すっかり自然と共存している。 蔦

不思議な形状の丸い遺構がある。
「乾式精錬」のような廃墟だ。 遺構

下ってきた最上部を見上げる。
茂った木々でその全貌は見えない。 選鉱施設

この付近から廃祉は苔で覆われ始める。
モノトーンの廃墟に、
少し色が入った。 苔

塀の奥は沈殿槽か貯水槽のような形状だ。
深い遺構だ。 アンカー

焼滓はスラグピンと共に、
この沈殿池に放流されたようだ。
今はすでに毒性もないようだ。 焼滓

かつては鉱山を中心に、
東北1kmにわたり長屋街が連なった。
数百名を収容する倶楽部もあり、
あらゆる施設が付随して鉱山街に造られた。 選鉱所


今回読者のU氏より、
日本産金振興株式会社豊浦精錬所の貴重な当時のお写真を提供頂きました。
ここに掲示します。 選鉱所

U氏は当時、豊浦でお生まれになり、
精錬所には格別の想いがあるそうです。
大変ありがとうございます。(2021/9/19) 選鉱所







戻る

苔
トップページへ

トップページへ