差込む一陣の光
紅葉最前線の時期に豊浦を通過する。
今回は採石所より下部の探索だ。
採石所を望む金山跡。
付近には巨大選鉱所があったようだが、
今は見る影もない。
深い水溜りの林道を進む。
当時の鉱区図とは、複線電化、新国道、採石所と、
大きな違いがあり、現地形図との照合に苦労する。
当時の消滅した鉱山道路を進む。
ほぼ痕跡無く、
少し藪が薄い程度だ。
沢からゴボゴボと大きな音がする。
どうやら大量の湧水が吹き出しているようだ。
止めどなく水が溢れている。
倒れた電信棒。
森に還りつつある。
谷の奥に穴が現れた。
RCの構造物で、
溝のようだが。
これはただの水路ではなく鉱山施設だ。
並々と澄んだ水を流す水路だが、
山の斜面深く続いている。
かつての坑道を加工した水路のようにも見えるが、
何も無い山中に続いている。
方向は第一通洞に向かっている。
水中深く、坑道は奥に続く。
水は冷たく、沢の水量ではない。
いかにも奥からの坑道の疎水坑で間違いない。
道なき山中に、
巨大な重機のタイヤが転がる。
森に溶け込み、さながら鉢のようだ。
これらのタイヤは、
鉱山関連ではなく、
その後の採石関連かもしれない。
ここでようやく遺構が現れた。
これは何かの基台だ。
深い山中に不思議なRC構造物・・・いよいよ近い。
正面は激しい崖となった。
一部崩れているようだが・・・。
!!!
なんだあれは・・・。
慌てて近づき、崖を登る。
ひんやりとした冷気と甘い木の臭い。
坑口だ!しかも通洞らしい。
ほとんど埋没しているのは、
人為的な工事だ。
羽虫だらけで水の滴る深い穴だ。
それでは入坑してみよう。
入り口は狭く、
一瞬で泥にまみれる。
内部は水蒸気が飽和しており、
真っ白だ。
空気の流れはない。
入坑するや否や、目の前で激しく埋没している。
これは発破で人為的に埋め戻されたものらしく、
これ以上進めない。
振り返れば差込む一陣の光。
辛うじて残存した坑道。
一部は自然に崩れたものらしい。
ようやく到達した本当の鉱山跡。
坑道は続いていなかったが、
差込む光は明るかった。
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