坑道で迷う
海からも近い本坑の坑道内を進む。
レイルと水没・・・ありがちな光景だ。
脇にはトロッコが資材と共に、
積まれている。
吊り下げられたパイプが、
中空を這う。
そして坑内分岐だ。
レイルのポイントだ。
急角度で枝分かれする。
泥は深く、足首まで沈み込む。
泥の粘土は高く、脚にまとわり付く。
これが続くのだろうか・・・。
レイル上に3連並列するトロッコが現れた。
鉱石を運ぶ、丈夫なトロッコだ。
今度は黄色のタンクがあった。
100A程度のサクションホースが繋がり、
ゲートバルブが何連も並ぶ。
振り返ると先ほどの3連トロッコがある。
タンクにトロッコ・・・。
鉱山跡の雰囲気が十分だ。
タンクの脇を潜る。
これは水タンクのようだが、
エアタンクの場合は破裂の危険がある。
作動油の一斗缶があった。
粘度はVG22。
再び坑内分岐だ。
すでに坑口から1,200m付近。
左手に沿って進む。
分かれてすぐに立入禁止となり、
その先に配電盤がある。
多数のスイッチや電磁接触器、ブレーカーが連立する。
送風機かポンプか、
果たしてその先はわからない。
戻って右坑を進む。
このあたりは路盤が乾燥しており、
久々に泥から開放される。
やがて再び水没し始めると、
またもやトロッコ連が現れる。
先ほどのものより連なっていそうだ。
今度は4連のトロッコだ。
特に後ろ2連はビニールシートで覆われた、
謎の車両だ。
隠された車両は坑木を運搬する軌道であった。
今だ、多数の坑木を満載している。
ナローゲージのトロッコ群だ。
その先で坑道は左から現れた別の並列坑と、
向かい合う。これはおそらく先ほどの配電盤の先だろう。
2連の坑道の間の柵には夥しいカビが繁殖する。
2本の坑道が並列する区間を歩く。
路盤は乾燥しているが、
柵のカビは成長している。
2本が連なる部分はやはり弱いのか、
一部坑道が崩れている。
いよいよ坑道が集中してきたということは・・・。
入坑から1,500m。暗い坑内を進む。
坑内横面から水が流れる。
この先に何かありそうだ。
行き着いた場所は複数の坑道が交差する広場だった。
しかも大きな施設があり、工務所のような雰囲気だ
複数のレイルが並び、
資材や工具が並ぶ、地底の奥1,600mの作業場。
レイルの這う床の下は中空で、
うかつに踏み込めない。
近くで大きな水流の音が聞こえる。
レイルの先には鉱石のシューターがあり、
Cチャンネルで櫓が組まれている。
地底の竪坑のようだ。
シューターには山盛りの鉱石が、
未だ満載されている。
ここからトロッコに積み込んだのだろう。
櫓の上部は竪坑でかなり高所から、
滝のように水が落ちる。
これが水流音の原因だ。巨大な坑内滝。
このレベル下も竪坑が続く。
しかしながら下方の坑道は完全水没のようだ。
足元に水没した長大坑道が眠っているのだろう。
奥にはパンチングの棚があり、
そこには配管の継ぎ手類が保管されている。
フランジやレジューサー、ビクトリックジョイントなどがある。
溶接機があり、
ここでは火を使っていたようだ。
作業場から離れると、そこには休憩室があった。
坑内の一端に木の壁で囲まれた一部屋だ。
中に入ってみよう。
内部は6畳程度の広さでマットレスが敷いてある。
黒い電話とカレンダー、ポットやコップがある。
ここで団欒していたのだろうか。
坑内1,600Mを越えて建設された、
竪坑と絡む工務所。
真の闇の中、今なお残る。
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