樹間を縫う索道送炭




旭ヶ丘からの芦別の眺め。
油谷は市街地より直線で5.5km北東にある。
芦別においても、かつての炭鉱跡地の痕跡は減少しつつある。 芦別

廃線を追うと、なまこ山から空知川を渡り、
その先の辺渓隧道の坑口である。
現在は閉ざされ隙間から辛うじて内部が伺える。 隧道


隧道を抜けると盤の沢川を跨ぐ橋脚がある。
美しい農村に目立つ遺構である。
更に北上する。 ピア


その後国道452号線を遡ると、
アバットやアーチのピアなど、
昭和39年に廃止された三菱鉱業芦別鉱業専用鉄道の遺構が続く。 専用線跡


芦別温泉の近代的なホテルである。
周囲はキャンプ場などが整備され、
あたかもリゾート地のようだが、そこはもうかつての炭鉱跡地だ。 芦別温泉


温泉の周囲には広大な荒れ地が広がる。
ここは炭住街で病院・配給所・会館・市役所出張所、
そして浴場は4か所あり、昭和28年の従業員数は814名に及んだ。 炭住街


職員寮や鉱員寮が2棟、保育園や小中学校もあり、
年一回の山神祭や運動会の際には、
全山の老若男女が参加したという。 建物跡


油谷会館なる映画や演芸、集会等も開催可能な施設もあった。
これは原野に残る煉瓦製の遺構で、
どうやら暖房設備のようだ。 煉瓦


温泉向かいの植生の無い丘はズリ山であろう。
当初は粘結性の高品位炭を露天掘りで採掘していた。
露頭を有していたので、その名残かも知れない。 ズリ山


温泉裏手から林道を進む。
崩れた廃橋を進むと、硫黄の臭気が漂う。
付近以北は辺渓駅から分岐した「油谷炭鉱専用線」1.3kmとなる。 廃道



その先には鋭角な崖があり、
恐ろしい梯子がかかり、誰が何のために設置したのか、
現時点では不明だが、とりあえず下ってみた。 梯子


脇の河原には噴き出す鉱泉である。
硫黄臭を伴い、白濁している。
温泉の湧水への梯子であったのだ。 温泉



湯温を計測してみたが、
それは12.8℃と冷泉であった。
恐怖の梯子を登って更に上流へ向かう。 湯温


開けた谷間に遺構である。
昭和24年12月26日、あたかもここで国旗掲揚の中、
大勢の人々が鉄道の到達に喜んだ、その現場であろう。 遺構


藪に残る選炭機の廃墟だ。
各坑から出炭された原炭は巻揚げ機により坑外に搬出、
原炭ポケットへ運搬される。その先の遺構のようだ。 選炭機


これはどうやら機関か送風機の基台のようだ。
エンドレスのコンベヤーの機関だったかもしれない。
試運転時は開坑3周年と重なり、山神祭を開坑記念日の6月1日に合わせて執り行った。 基台


選炭機裏手にはズリ山がある。
ここは治山され、少し登攀してみたが、
目立った遺構は存在しなかった。 ズリ山


選炭場跡地に点在する廃祉だ。
バウムの場合は上層を適度な厚さに維持しないと良好な選別ができないが、
レオの場合は排出と選炭進行にタイムラグがあっても問題は少ないのでより人的運転に適していたかもしれない。 廃墟


選炭工場跡を進む。
予備選鉱の施設は、穴あき鋼板の円筒体を回転させ、
その中に原炭を潜らせることで、石炭部分を優先的に破砕、選別する工程だ。 廃祉


レールも残存する。
これは鉱山軌道などの12kg級等ではなく、
40kg級の国鉄規格のものだ。 レール


かなり劣化した遺構である。
度重なる凍裂、湧水を繰り返した結果のようだ。
このヤマではレクリエーションが活発で幾種の催しが開催されたようだ。 遺構


これはコークス炉か煙道だろうか。
長い回廊が森を這う。
活動は弓道や剣道等が盛んで、油谷から各地の大会に遠征する選手もいたようだ。 コークス炉


煉瓦の遺構と言えば火薬庫が多いが、
これらは炉を伴う、脱水の工程かも知れない。
遠心脱水ではなく濾過器かキルンのような作業のようだ。 煉瓦


約60年前に誰かが積んだであろう煉瓦である。
本坑は福利厚生にも配慮が行き届き、
学生に奨学金が支給され、子弟の教育という点に力が込められていたようだ。 鉱山跡


こちらはかなり崩れかけている。
混炭、貯蔵、精炭は選炭作業に付帯する最終工程で、
需要にかなった品質に調整し、適時の積出に準備する。 廃墟


森を横臥する巨大な遺構だ。
乾燥した石炭の水平、傾斜面輸送にはベルトコンベヤー。
垂直輸送はバケットエレベーター、炭粒混濁液はサンドポンプを用いるのが一般的だ。 輸送


d9程度の鉄筋が配筋されている。
コンクリートは荒く、
少し触れると脆く削れる。 配筋


貯水槽のような廃祉だ。
レオ水選の確かな遺構のようだ。
足元に留意して進む。 貯水槽


この付近は水没した窪地に遺構が埋もれている。
ピークには800人を超える従業員を抱えた本坑も、
合理化の波には逆らえず、昭和40年にその幕を閉じる。 水没


山中を追えば他の遺構があるかもしれない。
閉山後のせめてもの活気は2か所から吹き出す鉱泉の存在だ。
400L/分の温泉を利用し市振興公社で運営する温泉は盛況だ。 沢








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選炭所
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