巨大露天掘り
上砂川町の奥から炭住街を見下ろす。
人の住まない棟も何棟かある。
ズリの広がる黒い道を登る。
意外と街から近い。
草生した不思議な荒地がある。
なんとなく怪しく、
こういうときには何かがあるのが常だ。
突然、人工的な池が現れた。
かなり深く、身長ほどはありそうだ。
気づかず足を踏み入れていれば・・・。
その奥には坑口がある。
やはり、ただの谷間ではなかった。
密封され、非常に荒れた坑口だ。
足場には崩れた木々や資材が散乱し、
坑口に近づくのも大変だ。
坑口に意匠は無く、
I鋼を弧に曲げた支保工が露出している。
散乱した配管。
自然の木々と折り重なるように、
苔むしている。
付近の足元には炭塊が落ちている。
道全体が黒く、
更に奥地へ登る。
プーリーのような円盤状の遺構がある。
治山が進んでいるが時々、
忘れ去られたように遺構がある。
広大な黒い荒地に、
エゾジカの脚と足跡が残る。
棄てられた風景と遺体の一部が共存している。
ズリ山に登る。
塊は大きく、選鉱した滓ではないようだ。
更に山中を登ると、
木製の電柱の遺構がある。
登るにつれ、いよいよ道は廃道となり、
歩きにくい。この奥に何かあるのだろうか・・・。
かなりの時間登ると、突然視界が開けた。
奥には大規模に治山された山肌が見える。
深い山中に現れた治山されたズリ山。
その規模は広大で、
元の山の形が想像できないほどだ。
付近にはエゾジカが多数いて、
遥か頂上付近にも点々といる。
かつての産業遺産はエゾジカの楽園となっていた。
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