激藪の中の荒地
洞爺湖の東、壮瞥から有珠山を望む。
湖の最北に本坑はある。
昭和新山と共に望むなら壮瞥側がいい。
洞爺湖は道内3位の面積を有するカルデラ湖。
真ん中のトーノシケヌプリの標高は455m。
洞爺湖の水深は180mだ。
財田から山に入る。
車両通行止め地点から、
鉱山跡までは片道4.5kmだ。
脇の崖には大規模な崩落がある。
歩き始めて間もないが、
林道を閉鎖するのも仕方が無いだろう。
林道脇にはイタドリやフキが
大きく茂ってきた。
早月川は中流域で、
その水量は多い。
いよいよ林道は藪で狭くなる。
羆よけに笛を吹きながら歩く。
大きな砂防ダムがある。
轟々と流れる音で、熊鈴はかき消される。
太いのがソウベツ川で支流が早月川だ。
山深く人の気配はまったく無い。
対岸には露頭が見える。
鉱山跡ではないようだ。
川向こうに植生の無い、
荒地のスラグが見える。
あの斜面は間違いなくズリ山だ。
しかしこの時期の激藪で、
直接向かうことは出来ない。
ザイルを張って、崖を下り川原に到達した。
この時期、河床を歩いたほうが
楽かもしれない。
斜面は見た目、ザレ場のようだが、
コケと目の細かい砂で、
靴が潜り、滑らない。
斜面を高播きして、上流を目指す。
崖を越えて、河床に下る。
。
腐食したレイルだ!、
鉱山跡で間違いない。
川の中にトロッコの痕跡があった。
更に河床には文字の書かれた木片が。
「古材待 行事一切断」。
よくわからない・・・
いつものように水没しつつ、
川を遡る。
岩は苔で滑りやすい。
大きな切り株を超えると、
ようやく視界が広がる。
はたして鉱山跡に到達した。
激藪の中、この一帯だけが植生が無い。
結構大きな鉱山跡だ。
激藪から開放され、
ズリ山らしき跡を歩く。
積み出しの施設跡がある。
RCのブロックが2連並ぶ。
近づいてみよう。
廃祉から鉱山跡を望む。
製錬はここではされていないようだ。
貯鉱場所からの積出設備で間違いない。
坑木が散らばる河床跡。
少し鉱水が流れている。
別の谷筋には赤い鉱水跡がある。
坑木を跨ぎ、
更に上流に向かう。
廃坑跡に育つ一本の木。
白い土壌には虫もいない。
白い谷間に赤い鉱水。
コントラストが激しい。
斜面には崩れた坑口のような痕跡がある。
しかし、今となっては定かではない。
奥には不思議な沼がある。
石を投げてみたが、意外と深い。
干からびた鹿のヌタ場のような場所がある。
エゾジカの足跡が多数ある。
鉱水が流れる。
凍結と解氷を繰り返し、
周氷河の地形を再現しているのかも知れない。
あちこちに鉱石が露出する。
硫黄分なのだろうか。
色は黄色い。
目立った大きな設備は無いが、
アクセスが困難なため、
達成感は大鉱山以上だ。
再び、廃坑を下り、
川を渡り、崖を高播く。
そして林道を下山した。
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