泥の迷宮




下部坑に入り、坑口を振り返る。
坑口から30mぐらいだが、
すでにひんやりして寒い。 入り口

しばらく進むと、脇に電球がぶら下がる。
LEDなど無かった時代の「電球」。 電球

更に進むと、突然の閉塞。
意図的に閉ざされたようだ。 閉塞

枡で鉱水を貯め、
坑道は完全密閉されている。
ボールバルブから鉱水が流れる。

上部坑は奥深い。
先が見えないし、
荒れた感じがする。 上部坑

足元は水没し、泥の海となった。
坑木が倒れ、
非常にぬかるんでいる。 泥

支保工は重厚で、
何本もが組み合わさっている。 支保工

入坑より70mで左に分岐があった。
それは分岐道ではなく、小部屋のようだ。 小部屋

一畳ほどのスペースに、上部には滑車らしきものがある。
もしや竪坑か。 竪坑


床部分には簡易な板が敷いてあり、
その板をめくると・・・ 床板

深い深い竪坑だ。
LEDライトを用いても底は見えない。 奈落

ここにも電球が残っている。
何十年も経過しているはずだ。
破裂の危険もあるので触らない。 電球

水没しつつ進む。
泥は深い。 水没

支保工には所々、カビの一種か、
菌糸が伸びている。
かなりの大きさがある。 菌糸

脛まで泥に潜りつつ歩く。
ここの泥は非常に粘土が高い。
踏み抜かないように注意する。 泥の海


これが実際に近い明度で、
ライト無しではまったく動けない真の闇。 真の闇

カビの菌が大きく育つ。
色素が無く、真っ白なのは、
暗闇で生きているからかもしれない。 カビ

洞内の上部からは夥しい量の鍾乳石が垂れる。
鉱石の成分なのか、
色は濃い茶色でいかにもだ。 鍾乳石

折れて倒れた坑木に、
何年もの歳月で形成された鉱水の鍾乳石。
いわば「鉱筍(こうじゅん)」だ。 鉱筍

一箇所の鍾乳石は鮮やかなブルーだ。
上国富鉱山にもあった鉱石と
同じ色合いだ。 ブルー

入坑200mを超えて、
いよいよ出現した坑内分岐。
じっくり見てみよう。 坑内分岐

右側の狭い坑道は、
非常に荒れており、
坑木が散らばる。

折れて崩れた支保工を跨ぎ、
更に奥へ進む。
頭上にも注意が必要だ。


脇には崩れた空洞がある。
中はそのレベルから遥か上部へと竪坑が続く。
数十m以上はある。
支保工に腐食した配管が這う。 竪坑

奥にはコウモリの死骸があり、
そこで坑道も埋没している。
まだ飛んでいるコウモリには遭遇していない。 こうもり


今度は球体のカビに遭遇した。
ふわふわの毛が生えており、
白い毬のようだ。 胞子

左の坑道はいきなり大ホールとなる。
地下空間のエントランスだ。
道は中央に細く、両脇は深く陥没している。 大ホール

中央に巨大なゲートバルブが鎮座し、
奥へ進むにはこれを跨いで行く事になる。
ボディはダクタイルのはずだが腐食が激しい。 ゲートバルブ

左の陥没は5mほどだが、
その下も空間のようだ。
夥しい岩石と坑木が積み重なっている。 陥没

右の陥没も同様の状況だが、
こちらは坑木が多い。
一部は深い穴に見える。 陥没

いよいよ中央の断崖を渡って更に奥へ進む。
崩れる危険、落下、落石の危険。
多数の危険予知をしながら歩く。 中央坑道


途中には長い長い鍾乳石が・・・。
黒に近い茶色で、
赤い酸化した鉱水が爛れる。 鍾乳石


十数m奥で大崩落が。
とても下れない深さだ。
奥に続く坑道も見える範囲で埋没している。 大崩落

支えを失ったレイルが中空を這う。
両脇の斜面に、
辛うじてぶら下がっている。 大崩落

最奥から最奥を望む。
奥の状況は酷い。
坑木と岩石が折り重なっている。 最奥

その上部は大きく削れている。
何百tという鉱石が、
誰もいない、いつかに落盤したのだろう。 埋没

脇には電熱線のヒーターと、
それを囲うメッシュの檻がある。
工業用の設備なのだろうか。 ヒーター

最終地点の確認に至り。
折り返し再びあの一本道を渡る。
次回は渡れないかも知れない。 帰路






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蝙蝠
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