奈落の角度
風洞の坑口付近はまず平場だ。
しかし、その先数mで一気に急角度となっているようだ。
一般に斜坑は14度以下と規定されているが・・・。
少し苦労して平場まで降りた後、
その先に進むと一気に大荒れの状態となる。
排気坑道とは言え、現在は風の通りは無い。
少し下るとそこからは右に大きくカーブする。
下る角度もあり、まるでスパイラルのようだ。
坑道の屈曲が細かいとそれだけ通気抵抗が増し、通気圧力は損失するはずだ。
なめらかなアールを描き、風洞は続く。
足元は瓦礫が散乱し、
非常に歩きにくい。
更に下ると空気は淀み、
足元の瓦礫も巨大化してくる。
坑道周壁の状態や断面積の変化も通気圧力に影響する。
その奥では急激に角度が増し、
覆工がRC造からIビームによる土留めへと変化する。
そして坑道ではなく風洞ならではの円形枠の断面形状となる。
覆工が木材となり、それを固定しているのは、
両フランジ部がテーパー形状なので、
H鋼ではなく、やはりIビームだ。
写真では解りにくいが、
ここからは30度以上の急角度となる。
まるで絶壁のようで、Iビームを支えにしてぶら下がるような状態だ。
坑内等積孔は通気抵抗を薄板に開けた円形孔の面積で等比したものだ。
その穴が大きいほど通気抵抗は少ないこととなる。
いくら扇風機を巨大化しても、この等積孔を大きくしなければ風量は限られる。
これ以上の入坑は危険と判断し撤退を決めた。
この先はいずれ坑道に接続するはずだが、
今は用途のない風洞となってしまった。
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