謎の穴

緩やかな廃道を登る。
12月初旬、前日からの積雪だが、
つぼ足でのアタックだ。 アプローチ


周辺にはすぐに水槽のような遺構が現れる。
突然の穴に注意しながら歩く。 遺構


付近は廃道状態でほぼ道の痕跡はない。
火薬庫は選炭施設や炭住街からも、
大きく離れた場所に存在する 廃道


水温の高そうな沢がある。
谷筋ではなく斜面を跨ぐように流れる。
これは疑問、追ってみよう。 沢


雪の斜面を延々登ると土盛りの向こうに建物が見える。
火薬庫に到達だ。
高さのある土堤に囲まれ周辺から建物は見えない。 土提


レンガ製の火薬庫だ。
屋根は無く、しかし扉が残っているようだ。 火薬庫


窓がないのが火薬庫の特徴だ。
貯蔵量にもよるが、壁の厚みは20cm以上、
窓がないこととの規定が火薬類取締法施行規則にもある。 火薬庫


火薬庫とひとまとめにしているが、
1級から3級、そして導火線庫、危険工室、火工所、
火工品庫、取扱所などがある。 火薬庫


重厚な扉は開いている。
扉は防火扉とし、盗難を防止することと規定されている。 扉


長手面のレンガが縦に揃う形のイギリス積みだ。
角付近に『ようかん』と呼ばれる大きさのレンガを使用。
『ようかん』は正方形のように見えるレンガである。 マウスon イギリス積み


火薬庫脇の土堤には隧道がある。
これは排水路のようだ。 排水路


火薬庫は通常2棟か3棟で構成される。
火薬庫、雷管庫、火工所などのセットである。
レンガの1棟目を背に土堤を越えてみよう。 火薬庫


土堤を超えると別のコンクリート製建屋がある。
これは恐らく火工所、薬包に工業雷管、導火管付き雷管などを
取り付ける作業を行う場所だ。 火工所


工業用途に使用する爆薬は『工業爆薬』と呼ばれ
硝案爆薬やカーリット、ダイナマイトなど
使用が法令で定められている。 防火扉

薬包は紙などで包装した爆薬の事で成型爆薬とは爆発エネルギーを集中し
その破壊力に方向性を持たせるように形を整えた爆薬だ。 火工所


工業雷管は火薬に点火するために起爆剤を装填したもので、
爆発のきっかけを作るため、
わずかな熱や衝撃でも発火する火薬を筒に込めた火工品である。 雷管庫


内部はそこそこの大きさがある。
点火方式や点爆時間をコントロールするために、
内容薬量や管体、点火機構によって種類がある。 袖坑


屋根は完全に抜け青天井だ。
屋根の外面は、あえて壁より薄く造られる。
もしもの爆発の際に真上に爆風が抜けるためだ。 屋根


火薬庫と火工所の土堤を貫く水路隧道がある。
外部構造と内部構造との空間は湿気の滞留を避け、
排水を完全にすることとの決まりが明記されている。 水路隧道


土堤に囲まれた火薬庫は湿気や水のたまり場となる。
規定に基づいた排水路。
当初発見した斜面の謎の流れの上流はこれだったのだ。 水路


2棟が並ぶ火薬庫と火工所の配置である。
間には十分な高さの土堤がある。 火薬庫


炭鉱跡の中でも最も隠れて存在する火薬庫群。
発見は困難を極めるものの、
堅牢な造りはいつまでもその姿を刻む。 火工所







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水路隧道
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