比重選鉱と磁力選鉱のハイブリッド


アプローチはこの沈下橋となる。
調査資料の昭和30年(1955)12月現在でも、
その大半の坑道が水没、未水没の坑道は採掘済みという状況であった。 アプローチ


鉱区に入るとすぐに石垣が残る。
この石垣は野面積み(のづらづみ)のようで、現地調達の自然の石を加工せずに、
そのままの形で積み上げていく方法だ。 石垣


付近には埋没しているが坑口も残存している。
鉱床の地質は堅硬な石英岩で、
磁硫鉄鉱が多く靭性が高く(=強い)難破砕性(=崩れにくい)であった。 坑口


奥へ進むと選鉱所の廃祉が現れる。
選鉱は純度の高い鉱物を集める前工程で、
鉱石を砕き潰し、大きさを揃えて練り状にする工程だ。 選鉱所


選鉱はまず『破砕と摩鉱』、そして『磁選と尾鉱処理』となる。
つまり鉱石を潰して粒度を揃える。
それらを磁力選鉱し有用鉱物と 「尾鉱」(=びこう)無価値な廃石 に分離するのだ。 選鉱施設


坑口から運搬された鉱石(鉄粗鉱)は粗砕設備に投入される。
そこではブレーキクラッシャという回転式の鉱石磨り潰し装置で、
500o程度の大塊を50o程度の塊に一次破砕される。 選鉱所


ブレーキクラッシャは中心が偏ったホイールが回転し、
スイングジョーと呼ばれる板が反復することにより、
繰り返し挟み込む作用で鉱石を磨り潰す機械だ。 ブレーキクラッシャ


二次破砕は500〜150o程度の中塊を20o程度に砕く。
これにはコーンクラッシャーという装置が用いられ、
その異なる大きさの粒はメッシュのふるいに掛けらえ選別される。 選鉱施設


コーンクラッシャーは偏心回転しながら上下動するマントルという刃具と、
コーンケーブに挟まれた鉱石(緑)を衝撃を用いて磨り潰す装置だ。
この工程で鉱石はずいぶん細かくなる。 コーンクラッシャー


最終的には細破砕機を用いて20o程度以下の小塊に破砕する。
つまり三段階の破砕を行い、各工程ごとにふるいで粒度分けし
大きい塊は再度、前工程に戻されるのである。 石垣


細かく砕かれ、粒の大きさが揃えらえた鉱石は、
磁力選鉱に掛けられる。
磁気に反応する鉱物とそれ以外の尾鉱に選り分けるのが目的だ。 選鉱所


磁気を帯びた鉱物は電磁石を用いて選別する。
電気を流した時だけ磁石と化す電磁石は、
一旦吸い付いた鉱石を取り外すのが容易だ。 磁力選鉱



磁力選鉱は内部に電磁石を据えた回転ドラムを回し、
磁気に反応する鉱物はドラムに纏わりついて回転し、
それ以外の尾鉱は早い段階で遠心力に負ける。 磁選


これは鉄筋コンクリート製の貯鉱ビンのようだ。
処理と中の鉱石を一時的に貯蔵する施設だ。
付近では大きな施設だ。 貯鉱ビン


貯鉱ビン内部には大きな木が根付いている。
光を求め外部へ大きく育った跡だ。
地面に食いついた根が広がる。 貯鉱ビン


水槽らしき跡も残る。
粒度選別の際には水洗ふるいが使用されることもある。
選鉱には多量の水を使用するのである。 水槽


鉱石表面の付着水分が多いと、
前述の磁選ドラムと鉱石の間に表面張力が起こり、
分離精度が悪くなる場合がある。 貯鉱ビン


鉱石水分除去にはフィルタなどで脱水工程を施行する。
選別した尾鉱は泥状のため、
「スラリー」細かい固体粒子が水の中に分散した泥漿 ポンプを用いてパイプで鉱送する。 選鉱所


選鉱の初段階が破砕・粉砕であるのに対し、
次工程は鉱物を取り出す実際の選鉱過程となる。
銅の選鉱には一般に浮遊選鉱が用いられる。 遺構


鉱石一粒子が一種の鉱物となるように、
できるだけ細かく粉砕した鉱石を、
粉体のまま水中に投じて混濁状態(=ドロドロ)にする。 アンカー


この泥状の混濁液はパルプと呼ばれ、
起泡剤と捕収剤を加えて空気を送り込むと、
必要な鉱物のみが気泡に付着して水面に浮かび上がる。 浮遊選鉱


この浮かび上がった泡沫のことをフロスと呼び、
この水面上に浮かび上がったフロスを回収、
精鉱すれば目的の鉱物が抽出できる。 沢登り


坑口の発見だ。

浮選に用いられる起泡剤はアルコール系の薬剤、
捕集剤は鉱物表面が水と混じりにくい性質となるような薬剤である。 坑口 br>

坑道は数十mで埋没している。

当時の巻上機と排水ポンプに使用したディーゼルエンジンは、
使用が終了した後も、長期間にわたり丁寧に保管されたという。 坑道







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