2年間のブランク



三笠幌内川上流域から入山する。
3月中旬の三笠はまだまだ冬の様相、
しかし雪は締まっており、つぼ足でのアタックだ。 アプローチ


辛うじての道の様な掘割はあるが、

今はエゾシカの足跡しかない。
更に標高を稼ぐ。


使用後の選炭処理水に残る粉(= 「スラッジ」金属粉が剥離堆積した泥状の産業滓) をきれいに除去する方法は、
シックナーで大規模に除去した後、
ベルトフィルターやフィルタープレスが用いられる。 アプローチ


残雪の頂に水槽の遺構が残る。
タンクは2棟が並び、
手前はRC製、奥は鋼製だ。 遺構


ベルトフィルターは水平に回転移動する ろ布の上に、
粉体の混じったスラリーを流し、ろ液(浄水)は下に排出、
分離した個体である『ケーキ』と呼ばれる汚泥は
ろ布に沿って回転方向の出口から排出される分離装置のことだ。 ベルトフィルタ


水槽は直径が7m程度ある。
選炭場の沈殿池では 凝集剤 を用いて浮遊する不純物を集めて固め沈殿させる。
それも再生浄水確保のための重要な工程だ。 火薬庫


フィルタープレスは水分の残る汚泥を、
2枚の ろ布の間に挟み、ロールと呼ばれる回転軸の間を通過する間に、
絞ることで水分が排出され、脱水されたケーキが得られる装置だ。 フィルタープレス


今はもう脱落した配管が残る。
再生浄水を作る工程は、
シックナー→ベルトフィルター/フィルタープレス→沈殿池を繰り返すこととなる。 配管


奥の水槽は全体が鋼板で覆われている。
選炭廃水を浄化する目的は、
再利用のためと法に基づいた河川の汚濁を防止するためだ。 タンク


水槽は全体がコンクリート製の桶で覆われている。
幌内炭鉱のシックナーは3種あり、NO.1がφ22.5m×深さ1.9m、
NO.2がφ14.7m×深さ2.5m、NO.3がφ30.0m×深さ3.6mであった。 溝


鋼製タンクの上部には水位計の様な装置が据え付けられている。
フランジが吐出しており、
空気抜きの機構のようだ。 水位計


NO.1シックナーから溢流(オーバーフロー)した選炭浄水はそのまま再利用、
排出したスラリーはNO.2シックナーへ、
その量は3,406m3となる。 水槽


NO.2シックナーから排出のスラリーはベルトフィルターへ。
これは109t/日の量があり、
溢流した浄水はNO.3シックナーへ流れる。 鋼製タンク


NO.3シックナーから溢流した浄水は沈殿池へ。
排出した粉炭はフィルタープレスを介して水分除去後回収。
沈殿池からの溢流水は川に放流、沈んだ微粉は回収する。
それぞれ排出した再生水をこの山上のタンクに供給、再び選炭に使用するのである。 シックナー系統


タンク周囲を覆うコンクリートには孔が多数連続する。
これはコア抜きの穴のようだが解体のためなのか、
途中で作業を中止したのか、謎が深まるばかりだ。


幌内炭鉱は昭和50年(1975)11月の大事故により2年間の操業中止を行っている。
需要先への供給不能、販路の失墜、経済不況の中で再生を遂げたものの、
平成元年(1989)に閉山を迎える タンク






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