浄水場跡 探検: 北の細道 浄水場

浄水場でコンチネンタル・フィルターの航跡に会う



北海道某所

   上水道技術の基本的な機能は@取水,A導水,B浄水,C配水および給水に大きく分けることができる。
水資源を水質という面からみると、日本の河川水は火山性の地質層が多いことから
マンガン等の無機物質の含有量が少く(=硬度が低い)、それは飲料水として適していることとなる。

このように日本の浄水道の特徴としては飲料水に適した自然水が容易に得られるという環境のため、
近代以前の伝統的上水道技術においては、ろ過技術の発達は殆ど見られないことが特徴となる。
取水-導水-配水のシステムのみが上水道とみなされ、つまりは近代以降の都市の発達過程においても、
都市の基本的施設としての上水道そのものの必要性に対する認識を低いものにし、
結果的に上水道の発達・普及を妨げてきた。

水をきれいにする方法のひとつに『ろ過』がある。
『ろ過』の『ろ』は濾(さんずいに遠慮の「慮」)が常用漢字でないため、一般には「ろ過」と表記する。

ろ過は『ろ材』と呼ばれる直径数o〜3o程度の砂層や石炭を砕いたアンスラサイト層に水を通し、
微細な浮遊物を砂槽内や微生物層で捕捉吸着する浄化方法だ。

水源から得られる水には必ず不純物の微粒子が紛れている。
細かい砂や砂利、泥の粒子、微生物などがそれら不純物で、 粒子が大きいほどその沈殿時間は短く、早く沈む。

微粒子径と沈殿時間には以下の表のような関係性がある。

  微粒子の直径   物質の例   沈殿時間
 10o  砂利  0.3秒
 1o  粗い砂粒  3秒
 100μm(0.1o)  シルト(=沈泥)  38秒
 10μm(0.01o)  砂利  33分
 1μm(0.001o)  微生物  55時間
 100nm(0.000001o)  コロイド粒子  230日
 10nm(0.0000001o)  コロイド粒子  6.3年
 1nm(0.00000001o)  コロイド粒子  60年以上

1μm(マイクロメートル)以下の微粒子はコロイド粒子と呼ばれ、
表からこれは常識的な時間では沈殿しないことがわかる。

コロイドは光学顕微鏡でも見えず、ろ紙を通り抜けるほど細かい粒子だ。
現代では凝集剤の化学反応を用いてコロイドを集めて固めることで、
大きな固体にしてから沈める方法が一般的だ。


今回到達したある鉱山跡の浄水場廃墟は明らかに年代が古く、
恐らく昭和30年代前半の遺構だと思われる。
場所の保護の観点から詳細な機構には触れないが、 資料によると緩速ろ過の歴然たる遺構が残る。

急速ろ過と緩速ろ過の違いを認識しつつ、雪山に残る巨大遺構を来駕したいと思う。

緩速ろ過・配水池・塩素消毒・・・



上水施設
上水施設





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