ファネルフローの憂鬱


いつものようにアプローチから道は無く、
ただ、盛期には鉱山道路の存在があり、
まずはその発見に向かう。 アプローチ



やがて鉱山道路の痕跡に遭遇する。
現状は道とは言い難いものの、明確な道路跡だ。
このような廃道を追うことで遺構に導いてくれる。 廃道


付近には鉱石なのか多くの岩石が転がる。
鉱山の鉱区内に入ったようだ。
ここからは遺構や平場に注意して登る。 鉱石


木々の奥にコンクリートブロックの建物が見える。
鉱山跡に到達だ。
足元に注意しながら近づいてみる。 ブロック


コンクリートブロックは珍しく長手積みである。
火薬庫かと思ったが周囲を囲う土留めがない。
屋根は壊れ、かなり小型だ。 長手積み


内部は何もなく、木製の屋根はほぼ朽ちている。
恐らく資材庫かボンベなどの危険庫、
鉱山の痕跡では間違いない。 危険庫


更に登るとスレートの小屋が倒れている。
鉱山事務所や職員の詰所があったのかもしれない。
度重なる積雪で倒壊したのだろう。 小屋


軌道や索道の記録はないものの、
鉱山道路は更に山中へ延びる。
付近は人工的な雰囲気に囲まれている。 鉱山跡


山中を進むと他にも平場が点在する。
鉱山住宅や選鉱施設などの付帯施設が存在していたのかもしれない。
人工の痕跡が続くので、更に山中へ進む。 平場


廃道を進むとやがて若干開けた一角がある。
採掘した鉱石を搬出した場所かもしれない。
破砕や摩鉱といった選鉱を他の場所に外注する鉱山もある。 廃道


奥の斜面にはRC製の遺構がある。
積込の施設のようだ。
斜面を利用したカスケード方式だ。 谷間


続く遺構はかなり大きい。
これは鉱石の積込施設、ホッパーのようだ。
ホッパーは漏斗型の形状で材料の投入/排出に使用される。 ホッパー


上部から投げ込まれた鉱石を底が開いた逆四角錐形の容器をもって、
内容物が底に滞留すること無く下部で排出、
貨車や運搬車、コンベヤーなどに積込する施設だ。 コニカル


広い意味で漏斗型の投入排出設備をホッパーと呼び、
その中でも円錐形状のものを『コニカル』と呼ぶようだ。
明確な定義はなくメーカーでもまとめてホッパーと呼んでいる。 遺構


ホッパーの中でも左右非対称で排出口が中央でなく偏心したホッパーもある。
これは投入位置と排出口の位置に制約があったり、
傾斜角度が急になることで材料の滞留が防止できるメリットがある。 ホッパー


材料の排出性を高められる反面、
ホッパーの製作コストが高くなり、
また鉱石投入時の偏りにより、全体のバランスが悪くなるデメリットがある。 廃祉


また偏心ホッパーでは傾斜の偏りがあるため、
『ファネルフロー』と呼ばれるホッパー内部での流れやすさの差が発生、
これが詰まりの主原因となる場合がある。 コンクリート


山中に続く遺構。
かつての鉱山跡はその痕跡を辛うじて残す。
資料も少なく、恐らく人知れず廃鉱となった鉱山跡の原風景だ。 鉱山遺構







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危険庫跡
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