ズリ山の彼方


標高300m付近の林道を行く。
トラックでの鉱石搬出が行われたそうだが、
林道はかなり荒れている。 アプローチ


5月とはいえ、残雪の道を進む。
浮遊選鉱所が存在する以上、
粉砕装置の基台や水槽、シックナーなどの遺構にも期待する。 残雪



少し上流には治山された一角がある。
ズリ山かと思ったが、廃坑後に整備された斜面だ。
この上部に施設があるかもしれない。 治山


付近には社宅跡があったようだが、
現在は荒れた林道でしかない。
さらに遡る。 社宅跡


第一の遺構、コンクリート製の施設跡である。
恐らくこれは、積込設備だと思われる。
鉱山終期にはトラックに直接重機で鉱石を積み込んでいたようだ。 遺構


巨大なズリ山への到達だ。
度重なる休山と鉱業権者の変更が繰り返され、
それでも長期間稼働したその痕跡だ。 ズリ山


ズリ山上部の浮遊選鉱所跡が朽ちている。
斜面に段差を用いた施設跡だ。
粉砕か破砕の工程かもしれない。 浮遊選鉱



付近には苔むした円形の遺構が残る。
これはあまり見ない形状の施設だ。
深さは1.5m程度で井戸のように深くはない。 基礎


遺構の側面には穴があり、
配管が通っていたようだ。
鉱物を水中で浮き上がらせる起泡剤のタンクのようだ。 水槽


廃鉱跡を更に登る。
水利の施設や電気関連施設は、
もっと上流域にあるかもしれない。 廃坑


更にRC製の遺構は続く。
これは水槽のようだ。
浮遊選鉱は大量の水を必要とする。 水槽


斜面のかなり上方に何か人工物が見える。
浮遊選鉱場からはかなり標高が高い。
恐らく水槽など媒質の施設のようだ。 廃墟


遺構はやはり水槽のようだ。
ただし先ほどの浮遊選鉱所とはかけ離れた高さにあり、
もしかすると時代考証の異なる旧浮遊選鉱所かもしれない。 山中


水槽下端には丸い排出口がある。
数種の鉱物をまとめて採取する『総合浮選』、
2種程度の鉱物を選鉱する『優先浮選』などの種類がある。 水槽


上部から覗くと水槽は3ブロックに分割されている。
1種類の鉱物のみをターゲットとしたのが『単一浮選』と呼ばれ、
この3部屋は段階的に浮選を行ったようだ。 浮選


浮選機の脇にはシックナーが残存する。
直径は5.2m、沼のように水が満たされている。
円形の遺構は独特だ。 ふるい


外周は一段高く、その中に溢流樋があり、
水槽部と溢流樋の壁は一段低い。
中心部の回転装置は堆積した落ち葉で目視できない。 石垣


シックナーからの排水路の跡には、
金属製の堰が残る。
急斜面のため、落石防止や砂防のためであろう。 堰


水路は貯水槽に導かれ、
そこを下ると、先ほどの治山斜面に到達した。
浮遊選鉱所と旧浮遊選鉱所、かつての栄枯を垣間見る鉱山跡であった。 水槽








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