Ni鉱山跡 探検: 北の細道 立坑スキップ

Ni鉱山のオアービンを覗き込む



北海道某所

   「鉱山は運搬業である」と言われるほど、その搬出工程は多岐にわたる。
坑道からの主要運搬については斜坑から立坑へ、
特に昭和35年以降の第二次深度への転換期には立坑増加の一途を辿る。
立坑巻索の重要性とその寿命判定が取り沙汰されたのもこの時期だ。

水平な坑道の場合はレールを敷設し、トロッコやベルトコンベアーを用いて鉱石を運搬すればよいが、
急傾斜の斜坑や立坑の場合の巻上装置は別の手段が必要となる。

エレベーターのような巻上装置にトロッコごと積込めるケージを利用したり、
ボックス型のベルトコンベアー=バケットコンベアーまたは、
鉱石専用の箱=スキップを流用したりする。
14度以上の急傾斜斜坑の場合、
ワイヤーによって吊るされた本体下に車輪のある、鉱石をバラ積みできる箱型スキップを利用し、
これを地上の巻上機により、レールに沿って巻上げられる。

立坑の場合は吊るされたエレベーターの箱のような鉱石専用スキップで、
立坑内を上下動し運搬する。

ケージは坑底、地上でトロッコを積み下ろすデッキチェンジという作業が伴い、
着床精度やその作業時間がロスとなる。
対してスキップは鉱石の積込・搬出は扉を利用して自動的に行われ、
転覆式や底開き式の二種があるが鉱石の粉砕による粉化を防止するためには、
底開き式が優位とされる。

より効率よく鉱石搬出を行うためには、ある一定量の採掘鉱石を一時的に坑内で保管し、
それを定期的に搬出する方法が取られる。
つまり地下の鉱床内には鉱石の保管場所があり、これは『オアービン』(貯鉱舎)と呼ばれる。

例えば−320mと−470mの横坑の間に直径数mの縦穴を掘削し、
ここに採掘した粗鋼を投入する。
この貯鉱舎の最下層にはブレーカーと呼ばれる破砕機が設置され、
−470m坑から集鉱され、別の立坑から定期的にスキップなどで地上などに運鉱されるのである。


今回はこのオアービンからの巻上装置を探索する。
縦横に走る坑道に対して地上にある遺構。
鉱山のメカニズムを垣間見る珍しい廃祉だ。


巻上機・象・貯鉱舎・・・


象



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