坑道指針


まずは標高330m付近の穏やかな沢を登る。
ここまで既に徒歩4.8qのプロセスを経ている。
更に標高を稼ぐ。 沢登り


ルートは廃道となり、急激な斜面で上部を目指す。
分散した坑道は基準となる通洞を0m坑とし、下部は−40m坑とか、
上部に220m坑などと相対の標高で記する場合が多い。 ルート


一気に斜面をよじ登ると沢は遥か下だ。
昭和30年代の遺構、
索道による搬出は地形に沿わず強敵だ。 登攀


もちろんGPSも使用するが、
オリエンテーリングコンパスで進むべき方向を確認しながら進む。
廃道では歩きやすい方向に進みがちなので注意が必要だ。 コンパス


斜面に第一の遺構の出現だ。
鋼製の円盤が車軸で繋がれている。
巻上機か索道の緊張所の部材のようだ。 巻上機


上部から崩れてきたと思われるプーリーの部材だ。
木々と一体化している。
ここからは急斜面のハードルートとなる。 ガイド


遺構が散在する。
鋼製の梯子のようだが、非常に堅固な造りだ。
配線用のケーブルラックのような部材かもしれない。 梯子



上部の斜面に大きなルンゼが見える。
鉱区図ではそろそろ210m坑付近だが・・・。
あのルンゼまで登攀してみよう。 亀裂


ルンゼ直下に到達した。
急角度の斜面にはレールが埋没している。
つまりこの穴はルンゼではなく人工物だ。 直下


埋もれるレールは高さ51o。
恐らく6s級のナロー用のものだ。
斜面の角度が急なため、直上はできず大きく巻く。 レール


一旦坑道の上部まで高巻する。
堀下最上部を巻いて、
アンカーの取れる場所から懸垂下降で坑道へ下る。 高巻


直上から坑道を覗く。
かなりの深さのある堀下で、
レールらしき鋼材が散在している。 直上


ここからはアプザイレンで坑道へ向かう。
今回はエイト環とφ8.5oのザイルを使用、
約5m程度下る。 懸垂下降


レールや鋼材が散らばる坑口付近。
これは紛れもなく、
人工の坑道だ。 坑道


さらに奥を目指す。
幅は1m程度で非常に圧迫感がある。
上部は崩れた裂けめなのかもしれない。 平場


黒曜石のように黒い岩盤だ。
本坑はマンガンや亜鉛、鉛を産出したというが、
白い斜長石のような部分もあり、火山由来のはんれい岩かもしれない。 黒曜石


奥は急激に下部に掘削されている。
深さは30m以上続くようで、支保工が何本も見える。
足場が悪くここは入坑しない。 立坑


ルンゼ坑を出て、更に上流を目指す。
他にも4か所程度の坑口があるはずだ。
ここからの鉱石搬出は索道によるものだ。 登攀


かつての鉱山道路のような、
廃道らしき路を行く。
坑口まではあと600m程度だ。 廃道


進んだ斜面に鋼材と黒い穴が見える。
目視しただけで3か所はある。
上部から探索してみよう。 マウスon 坑口


最上部@坑口から入坑してすぐの画像である。
足場は消滅しており奥に水平坑と下部に下段坑が接続している。
恐らく崩れてこのような形状になったのだろう。 マウスon A地点


中段A坑口Bからの目視である。
入坑してすぐに下部への堀下があるが、
右手の縁を通過すれば入坑できそうだ。 マウスon B地点


再びザイルを張って縁から入坑、振り返る。
足元は薄い岩盤のようだが、
慎重に進む。 ザイル


20m程度入坑したC地点。
木製の箱が残存している。
坑道は水平だ。 マウスon C地点


水平坑道は突然終焉を迎え、
急激に下部へ落ち込む。
下へ下へと鉱石を落下させるシュリンゲージ法のようだ。 マウスon D地点


支保工の残る堀下だ。
下部から冷気が吹いている。
ここで撤退、再び坑口へ戻る。 立坑


最下部のB坑口はチムニーのように激狭だ。
ほとんど身体一つ分の空間しかない。
潜り込むように入坑する。 マウスon B地点



狭穴を抜けると水平の崩れかけた坑道が続く。
立つことはできない高さだ。
奥に明かりが漏れ、上部坑共接続しているようだ。 マウスon F地点


その奥では滑らかに下部へ堀下が続く。 頼りない坑木が数本残っている。
酸素濃度は20.9%、これは下れそうだ。 坑木

上部を見上げると、
先ほど入坑したC地点に続く。
3か所の坑口はすべて接続していたのだ。 マウスon G地点


再び懸垂下降で坑道を降りる。
酸素濃度を計測しつつだ。
足元は崩れた岩盤が堆積している。 アプザイレン


約17m下るとそこは支保工の林立する地底湖であった。
恐らく深さ数十mに及ぶ坑道跡だ。
真の闇の中に横たわる地底湖だ。 地底湖


蟻の巣のように張り巡らされた坑道跡。
かつての繁栄の象徴だった大規模坑道も、
現在は風化し自然に還ろうとしている。 遺構









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