鉱泉の水簾のなせる業


オンネトーは雌阿寒岳(1499)の麓に位置する、
アイヌ語で「年老いた(大きな)湖」を意味する湖だ 。
湖面は季節や角度で青からグレーまで色が変化するため『五色沼』とも呼ばれる。 オンネトー


付近には赤い沼がある。
錦沼と呼ばれ、褐鉄鋼の成分が堆積しご覧の鮮やかな赤い湖面となる。
錦沼の水がオンネトーに流れ込むことで神秘のブルーを生み出す要素となっている。 錦沼


オンネトー駐車場から南東へ遊歩道を進む。
周辺は雌阿寒火山群の活動に伴って生成された、
言わば現在進行形の非常に若い鉱床と言える。 遊歩道


苔に覆われる原生林の中を進む。
付近のマンガン鉱床はすでに大半が採掘済みというが、
火山作用によって生成したと検証されている。 苔


ガス体であった宇宙から、渦巻の中心に固まった熱球ができ、
その太陽から分かれたか、または他から結び付いた地球は、
1,000万℃から冷えはじめ、比重の重い鉱石が地殻深部に集まり固まった。 原生林


地球の温度冷却と共に、溶岩の海の表面に薄皮が張り核ができる。
封印された90種の元素は、化合して鉱物を作り、
やがて噴火や地殻変動で表土に産出する。 岩石


30分程度歩くと広場に到達する。
ここがかつての鉱山跡で硫黄臭もある。
付近には貯鉱場、鉱山事務所が存在した。 鉱山跡


正面には高さ20m程の緩やかな滝がある。
これが『湯の滝』で、藍細菌(らんさいきん)という微生物が、
吹き出す温泉水に溶け込んでいるマンガンを沈積させているのだ。 滝


静かに流れる鉱泉の滝。
46憶年前に地球が誕生し、藍細菌が生命として誕生したのが35憶年前。
この藍細菌は光と水と二酸化炭素を利用して酸素を作り出すことができる。 鉱泉滝



鉱泉の温度は27℃と気温より高い。
藍細菌はストロマトライトと呼ばれる石灰質を形成しながら酸素を作る。
海中の鉄やマンガンと酸化反応しそれらを海底に堆積させる。 温度


滝壺の池である。
ここでも温泉水に溶け込んでいるマンガンが、
今なお微生物の働きにより生成堆積しつつあるのだ。 池


かつては採掘したであろう一角もある。
付近には50tの山元貯鉱設備があり、
鉱石はトラックで随時足寄に搬出されたという。 鉱床


下流方向を望むが遺構は無い。
鉱床図には軽索の記載があるが、
搬出距離も60m程度であったようだ。 軽索


付近にはガラス瓶が落ちているが当時のものかは不明だ。
採掘された鉱石は電池性能に難点があり、
二酸化マンガンとして合金用金属として売鉱されていた。 ガラス瓶


沢沿いを確認するが、遺構は見当たらない。
銅・鉛・亜鉛湿式製錬用の酸化剤として、
マンガン鉱石を利用する計画が当時あったというが実用化されていない。 鉱山跡


世界的にも珍しい現役のマンガン鉱床生成地。
昭和25年の鉱資源輸入自由化は、
東日本、そして関西の零細マンガン鉱山の閉山に拍車をかけた。 沢







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水簾
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