坑道の中の坑道


さっぽろ湖は小樽内川を堰き止めた、定山渓ダムの貯水池として、
平成元年(1989年)に誕生した標高392m、深さ55mの人造湖だ 。
札幌市街地から40分とは言え、森の中の湖だ。 さっぽろ湖


さっぽろ湖の上流、迷沢川との分岐点がアクセスポイントだ。
鉱床図では、A坑・B坑・C坑・D坑・相生坑・露坑の6か所の坑口がある。
相生坑とB坑だけが山中にある。 迷沢川


まずは相生坑目指して林道を遡る。
金鉱は最近まで秋田県北鹿地域の小坂・釈迦内・餌釣・深沢鉱山で、
探鉱が進められていた。 相生坑


水没しながら沢を登る。
鹿児島県の菱刈鉱山では現在でも高品位の金鉱脈が発見され、
その埋蔵量は日本の産金40年分(=120t)と言われる。 沢登り border=


B坑そして相生坑付近まで渡渉したが、
目的の坑口の発見には至らなかった。
菱刈鉱山はジパング(黄金国 日本)の再来と海外からも評価されている。 相生坑


B・相生坑から離れた露坑を目指す。
金は黄金色に輝く希少な金属であり、変色・腐食もしないその価値が、
鋳造される金貨を生み、やがて探鉱・錬金技術の進歩に繋がる。 坑口


写真では非常にわかりにくいが、この崖の袂が坑口だ。
若干の冷気と木の腐敗した甘い香りが微妙にある。
坑口の発見時は視覚より、嗅覚などによることが多い。 坑口


斜面下部に辛うじての坑口だ。
鉱床図からこれは恐らく『露坑』である。
ガスや獣、床、頭上に十分注意して入坑だ。 坑口


実際の坑口は狭く、自然の洞穴の様相だ。
ザックを降ろさないと体が入らない。
何とか身体を滑り込ませる。 入坑



坑道は奥に続く。
若干の水没だが深さは無く、木材も散乱している。
坑道中央高さ付近に喫水線がある。 坑道


少し入坑すると明らかに木材の人工物がある。
しかしながら用途は不明だ。
風は無いが獣の臭いはある。 人工物


水没して進むとすぐに浸水から免れ、
戸板が散乱、支保工もある。
空気はよどんでいるがコウモリがいる。 坑道


コウモリの飛びまわる坑道を進む。
金など鉄より重い元素鉱床の生成は、星の爆発など天文現象の後、
火山活動などで地表に現出するとされている。 コウモリ


坑道の右手の壁には木材で囲まれた棚のような穴が2か所ある。
深さは1m程度で内部はトタンのような部材が朽ちている。
現場では簡易な火薬庫かと判断したがどうも違うようだ。 カンテラ


帰宅後、師資の意見では、
火薬庫は防湿性の点で非現実的、
カンテラ置場か神棚、恐らく判座(就業表)置場ではないかとのこと。 神棚


その先すぐで掘削を中止した果てとなる。
全長は70m程度である。
人類がこれまで採掘した金の産出量は85,000t。 突き当り


突き当りから坑口方向を望む。
近年の世界の保有金は採掘トータルの40%である34,000t。
それでも世界的には金が不足している状況にある。 坑道


コウモリが眠る坑道。
世界年間産金量は1,200t程度で、そのうち約52%が南アフリカ。
次いでロシアが21%、日本は0.24%の3.1tに過ぎない。 コウモリ


再び外部に出て、他の坑口A坑・C坑・D坑を探すがそれは徒労に終わった。
産金量世界一の南アフリカも資源枯渇は免れず、
採掘場所は地下4,000mに及び採算割れに近い状況となっている。 坑口







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