剪定されたレールの行方


坑口はほぼ埋没した岩の裂け目でしかない。
念のためザイルを張って入坑する。
鉱山の坑口は古語で『間歩』と呼ばれるが、これは炭鉱では使用されない。 坑口


入坑してすぐ、12月のこの時期は氷筍が育っている。
坑内はそこそこ広く、
天盤まで5m以上はある。 氷筍


足元には軌条が埋没しつつ残存している。
資料には6tトロリー機関車の記述もあるが、
これはもっと小規模のようだ。 レイル


坑道は暗く、高輝度のライトが無いと真の暗闇だ。
そこそこ続いているようで、
内部に進んでみる。 坑道


左手には腐食した鋼製の箱がある。
資料では240m〜270mの長さがあるようだ。
立坑の表示もあるが果たして・・・。 坑道


これはどうやら配電盤のようだ。
湧水に備えて最坑底にはタービンポンプの据付があった。
通洞までの揚水を行い、雪解け時期には格段に増水したようだ。 配電盤


付近には120A程度の太い配管が朽ちている。
主要坑道には蛍光灯、
切羽には投光器があったという。 配管


その先には切上げと呼ばれる坑内立坑が存在する。
レールは複線で間で途切れている。
これがサブレベルケービングの切上げ坑だ。 切上げ


立坑は20m程度の深さがあり、
恐らくその下部には別の水平坑道が通過しているはずだ。
さすがにそこまでは下れない。 立坑


坑口から30m程度でこの立坑が存在する。
鉱石が自重と天盤圧で破壊する、いわゆるケービング作用が発生し、
掘削能力は非常に高い。 切上げ


石英が露出する鉱石。
この採掘法は母岩と鉱床の境界が明瞭で、
中位の品位の鉱床で利用される。 石英


さらに奥にはレールのポイントがある。
複線の軌道の分岐場所であろう。
レールは酷く腐食している。 ポイント


これは一か所目の立坑から15m程度奥にある第二の切上げ立坑だ。
こちらには鋼製のスクリーンが設置してあり、
漏斗状の鉱石積出装置がある。 漏斗


坑道は更に奥に続いているが、
その先の劣化が激しく、
ここで撤退する。 坑道


軟質で崩壊しやすい部分やズリの多い部分が混在する鉱床。
採掘時にズリ混入を防ぎ品位を高めるために、
あらゆる採掘法が組み合わされ実収率を最大にすることが将来に課せられた問題だったという。 氷筍






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氷筍
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