巻揚げ機の廃祉


カルルス温泉の裏山、来馬岳山腹の白樺台付近、
サンライバスキー場が今回の探索の起点となる。
スタート地点の標高は350m、目指すは標高510m附近となる。 来馬


当初は林道を進む。
11月初旬とは言え、日差しは暖かい。
冬季しか訪れたことがなかったので、林道幅の大きさが新鮮だ。 林道


まずはエコイカ鉱床付近を目指す。
登別川上流域の砂防ダムを遡る。
岩場は赤く、すでに鉄分が含まれているのかもしれない。 砂防ダム


岩を研磨したような小滝がある。
付近に平場がないか、
笹薮を分けて道なき道を進む。 滝


少し植生の薄い平場がある。
こういう場所は議定地として、
何かないかより慎重になる。 平場


くまなく付近を探索すると、
当時のものかはわからないが、
深い山中に瓶が落ちている。 瓶


加留々壽鉱床付近まで登坂した。
ここも平場があり、なんとなく怪しいが
確証のある遺構は得られない。 連卸し


付近には大岩が散発してきた。
ここは経験上近い気がするが、
相棒も冬季に何度も訪れている地点だ。 鉱床


近くの杜に人工的な木材の断片だ。
これは鉱山跡で間違いない。
冬季に埋もれる遺構、この時期ならではの発見だ。 木材


スレートの部材が埋没している。
恐らく建物があったのだろう。
昭和25年には3,360tの採掘が行われた。 スレート



付近にはコンクリート製の土台のような部分がある。
サイズは4`×8`の倍程度のサイズだ。
なにか工業的な施設があったようだ。 土台


藪に埋もれた巻上機の発見だ。
これは斜坑用というより、一時的な谷あいの採掘場所から
鉱石を引き揚げるコース巻きのウインチのようだ。 巻揚げ機


こちらの歯車に原動機(モーター)が接続されていたようだ。
クラッチらしき切替部やレバー式のブレーキもある。
鉱車などをコース(鋼首)によって巻き綱に連結、揚げ降ろしを行う装置のようだ。 巻揚げ機




巻揚げ機の延長にはすり鉢状の谷あいがある。
ここが鉱床の主要部のようだ。
下ってみよう。 鉱床



そして谷底の平場に現れたのは黒い坑口だ。
鉄鉱石鉱山は露天掘りが多いが、ここは坑道堀のようだ。
仮に坑口1とする。 坑口


少し坑道は続いているようだが風は無い。
昭和27年には13,000tの採掘が進み、
品位は54%であった。 坑口


坑道の内径は3m程度はあり天井は高い。
だたし、数mで一気に下部に掘られている。
立坑のような形状だ。 坑道


途中から一気に下る坑道。
この下部にも横坑があり、そこから採掘した鉱石を搬出する
グローリーホール式の採掘方法だったかもしれない。 立坑


坑口方面には明るい日差しが差し込む。
付近にはアンカーになり得る大岩がある。
酸素濃度も問題なさそうなので、立坑に下ってみよう。 坑口


ザイルを固定した後、予備にスリングも掛ける。
立坑の坑道は目視の範囲で5.6mだ。
暗闇の立坑に降下する。 ザイル


ここからはビレイを使用しての懸垂降下だ。
登りは自力での登攀となるため、
登れるかの見極めを行ったうえでの降下となる。 懸垂降下


暗闇の立坑を下る。
岩盤は崩れることなく強固だ。
テンポよく降下する。 ビレイ


10m程度降下すると終点だ。
そこからは埋没したのか、どこにも続かない。
今度は登攀だ。 立坑


坑口1から上部数十mには坑口2がある。
ここは狭いが入坑は可能だ。
再び入坑してみよう。 坑口2


坑口2内部は数mで埋没だ。
狭いながらも人工的な掘削跡がある。
来馬鉱床に移動してみよう。 坑口2


加留々壽鉱床から更に登る。
途中の斜面にも採掘跡がある。
ここは冬季にも訪れているポイントだ。 来馬鉱床


丸い汚泥からは霜柱が球状に生えている。
これは珍しい。
鉱山跡を探して尾根を越える。 霜


来馬鉱床に向かう尾根の平場だ。
ここも鉱山跡の一部のようだ。
坑口を探してみよう。 平場


ここにも坑口3がある。
ほぼ露天掘りに近いが、
かつての採掘跡であるのは間違いない。 坑口


その先の尾根から見下ろすと、
遥か足元に赤い鉱床が見える。
あれが来馬鉱床のようだ。 来馬鉱床


眼下の大穴が坑口4である。
ここは冬季にも入坑したことがある。
目視できるだけでも下流に向かって数か所の坑口が見える。 坑口4


下流の坑口5である。
ここは内部で上流の坑口4と連結している。
更に下流へ向かう。 坑口5


ここからは沢沿いに坑口が連続する。
右岸の小さな坑口6、
そして左岸の坑口7。 マウスon


どの坑口も入坑数mしか掘られていない。
氷柱の垂れる坑口8、
そして岩場の坑口9。 マウスon


グロい写真で申し訳ないが、
エゾシカの食べ散らかされた亡骸である。
恐らくエゾクロテンやキツネの仕業だと思われる。 エゾシカ


更に坑口群は続く。
ヒグマは獲物を隠す習性があるので、
このように露出したままの亡骸は恐らく他の動物によるもののようだ。 マウスon


今回の探索で坑口の発見は10か所に及んだ。
昭和26年11月に付近で硫化鉄鉱床が開発されたが半年で廃坑に至っている。
発見した坑口の一部はその痕跡かもしれない。 坑口10











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