鹿に守られた鉱床


常呂町は平成18年(2006)に留辺蘂町、端野町と合併、
現在、北見市に属するカーリングで有名な街だ。
10月の杜は紅葉最前線だ。 常呂町


熊出没注意の看板がある。
約3か月前に出没したようだ。
いつものように鈴を鳴らし、手を叩き、声を出しながら歩く。 クマ出没


紅葉の林道を歩く。
この林道は後に新設されたもので、
鉱山跡へ向かう道は南方向(右手)のようだ。 紅葉


やがて柴山沢川に沿った廃道が分岐する。
明らかに先ほどのルートよりは細く古い道だ。
地形図上では砂防ダムが連続するのでその建設用の道かもしれない。 廃道


廃林道を進むと、如何にもの鉱石がある。
紅葉の落ち葉がぬれた絨毯となり、
非常に歩きやすい。 鉱石


この林道は2.5万分の一地形図にもその記載はなく、
机上では沢沿いに登坂する予定でいた。
『柴山林道』と名の付く道は、うれしい誤算だ。 柴山林道


砂防ダムを超えるごとに、
道は荒れていく。
目指す標高は200m附近、現在はまだ100m附近だ。 砂防ダム


ここへ来て何かの視線と嫌な雰囲気。
あたりを見回しても気配はなく、
しかし、左の切株に・・・。 結界


切株の上にはエゾシカの頭蓋骨が鎮座している。
死体や骨は頻繁に発見するが、
これは誰かが置いた痕跡がある。 鹿


エゾシカの角はオスのみにしか生えず、
4月に生え始め、5〜8月に2股・3股に急成長する。
日に3pも伸びるが、3月には抜け落ち、1年ごとに生え変わる。 頭蓋骨



1歳の鹿は分岐の無い一本角。
2歳で二股、3歳から二〜三股、4歳以上が太く大きな角となる。
これはハンターが不要な残屑を切株に置いて行ったもののようだ。 エゾシカ


更に登攀して標高150mを超えたあたり。
柴山沢川の最上流域、右岸に何か見える。
ほぼ鉱床に接近したここで出会ったのは・・・。 斜面


斜面に残る坑口である。
入口付近で埋没しているものの、
これは予想以上の遺構だ。 坑口


屈んで潜る程度の大きさだ。
しかし人工的な壁面で、
試掘のための坑道であったかもしれない。 坑道


内部は赤い鉱石が散乱している。
明らかに手工具で採掘した坑道だ。
このような坑道が他にも山中に埋もれているのかもしれない。 坑道


更に登坂した標高230m附近。
森の一角に不思議な平場がある。
人工的な雰囲気の植生の薄い平たいスペースだ。 平場


平場には土管が残存する。
鉱山跡に到達だ。
この一帯はかつて建造物でもあったような雰囲気だ。 土管


鉄材の遺構もある。
これは取っ手の付属した箱型の部材だ。
選鉱や水分除去に使用したのだろうか。 搬器


これは鋳鋼製の搬器のような形状だ。
15A程度のパイプが溶接されていて、
ダクタイルではなくSC材のようだ。 部材


落ち葉に隠れた人工の池だ。
トロッコや搬器の停車場だった可能性もある。
鉱山として稼働していたその痕跡のようだ。 池


人工池の下部にはレイルの遺構がある。
高さが80o程度あり、15s級のようだ。
小鉱山としては珍しく、9〜12s級を超える大きな規格だ。 レール


更に崖の上部にはプーリーの破片のような部材がある。
トロッコの車輪ではなく、
ワイヤーが通る巻上機の一部のようだ。 プーリー


周囲にはワイヤーを巻き取るドラムのような遺構もある。
点在する痕跡たち。
鹿の頭蓋骨が結界を守護しているかのような鉱山跡遺跡群であった。 ドラム







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搬器
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