火薬庫と支保工の道



坑道に入るや否や、そこは乾燥し荒れている。
支保工の木材がが朽ちて倒れ、
電線が碍子と共にぶら下がっている。 坑道


電気軌道の架線でもなく、
これは内部へ電力を供給していた電線だ。
空気は澄み、更に奥へ続いている。 碍子


支保工は崩れ、もはや機能していない。
坑道が時間経過とともに 「盤圧」坑道周囲の岩盤の圧力 などによって変形・収縮を生じたとき、
これを拡大修復することを『仕繰』(しくり)という。 支保工




その先で坑道は三方向に分岐する。
坑道断面は角型となり、この広さは一般に、
加背(かせ)と呼ばれ、その高さと幅をもって表す。 坑道分岐


右坑は夥しい量の支保工が大きく崩れ、
高さも80p程度しかない。
すぐに奥で激しく埋没している。 右坑


左坑は鋼製の支保工で囲われた非常に狭い通路となっている。
しかも奥には赤い扉が見える。
しかし左右からの埋没が激しく、入坑は諦める。 支保工


奥には電灯と電球が残存している。
坑道断面の広さは例えば「八、七の加背」などと言われこれは、
高さ八尺(242p)幅七尺(212p)の大きさを表す。 電灯

坑道を直進すると、やがて赤い鋼製の扉が現れる。
これは間違いなく火薬庫だろう。
火薬庫の最大貯蔵量等は火薬取締法で詳細に規定されている。 扉

付近だけが厚い 「RC」Reinforced Concrete 鉄筋コンクリート 造となり、これは間違いなく防爆を意図する。
1級、2級、3級などの火薬庫があり、
火薬の最大貯蔵量は80t/20t/50kg、雷管の個数、導爆線の長さ等も制限が設けられている。。 秤量器


火薬庫付近にはコウモリが安眠している。
火薬の最大貯蔵量に対する保安距離は 「第1種〜第4種」第1=国宝、学校・第2=公園・第3=軌道/工場・第4=国道、高圧電線 の保安物件ごとに、
10m〜550mの規則が定められている。 コウモリ


火薬庫でこの坑道は終点となる。
坑道の天井は『冠』(かんむり)、床面は『踏前』(ふまえ)、
掘進採掘最先端を『引立』(ひつたて)などと呼んだ。 終点


本坑は運搬や通気、採掘用の坑道ではなく、
火薬庫の設置、この目的のためだけに掘進された、
非常に珍しい坑道かもしれない。 坑道





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