降下角度70度の坑道
本坑口は岩の裂け目にしか見えない亀裂だ。
赤い岩は鉄分を含み、
急角度で下っている。
少し下って上部の坑口を振り返る。
金及び硫化鉄鉱山であった本坑は、
金鉱床ならではの採掘方法の様相だ。
歩いて下るのではなく、
崖を下る様相だ。
岩盤は脆く、落石が非常に多い。
十数m下ると、岩盤から砂礫に雰囲気は変化する。
砂金から残留鉱床へ、そして鉱床露頭から掘り下り、
立入坑で着脈、疎水坑で平行に搬出というのが昔ながらの金鉱採掘だ。
下部からは冷たい風が吹いている。
恐らくどこかに抜けているようだ。
縦に抉られた坑道には木製の支保工が残存する。
見上げると地上の明かりはかなり上方となっている。
かなり降下したこととなる。
ほぼ体の幅しかない坑道に沿って慎重に下る。
足元にはカエルがいる。
地下水が染み出て、環境はいいようだ。
しかしこんな地下深い箇所に両生類がいることが不思議だ。
坑道は蟻の巣のように複雑に枝分かれし、
それら枝坑には多数の支保工が残る。
自然の洞窟でなく、人工ならではの痕跡だ。
既に光の届かなくなった深部にも、
支保工が残り、更に坑道は枝分かれし下部へ進む。
安全に配慮し、ここで撤収し地上へ戻る。
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