カタクリが見守る坑口
泥の横たわる坑道。坑口付近はダムのように土砂が堆積し、
坑道の下から2/3の位置に喫水線がある。
かつてはもっと高くまで水位があったようだ。
坑道内の岩盤は炭鉱と違い、強固で頑丈だ。
石灰質岩中に重晶石や酸化鉄鋼、硫化鉄鋼が網状に
「胚胎」(はいたい)鉱床を取込む周囲の岩石を母岩といい、それに抱きかかえられてる事
している。
高さは少しかがんで歩く程度だ。
特に中央部の汚泥は深く、200mm程度ある。
両端は浅く、すり鉢状の断面だ。
黒い部分堆積したこうもりの糞だ。
中央部は泥が深くて歩けないため、
岸に近い取付き部分を進む。
現在入坑約50m、酸素濃度も問題ない。
支保工らしい朽ちた木材が落下している。
少し獣の臭いがある。
水平坑道の利点は、運搬や排水に動力をあまり必要としないことである。
坑内面にはこうもりがぶら下がっている。
素掘りの掘削面がちょうど住処に最適なのだろう。
ライトを照射しても微動だにしない。
金属鉱山はこのように支保工がない場合も多い。
坑内は深さ100mを増すごとに、地熱により平均約3℃上昇する。
まだまだ坑道は奥に続くが、足元の汚泥もより深くなってきた。
振り返ると明るい坑口が見える。
一般に水平坑の場合は自然排水に便利なように1/500〜
「1/1,000」(1‰=パーミル=0.1%)1,000mで1m上昇
程度の傾斜をつける。
素掘りの岩盤はコールピックのような圧縮空気工具で手彫りしたのだろうか。
このあたりでいよいよ汚泥は足にまとわりつき、
歩行が困難になってきた。
この先への探索は諦め、撤退する。
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