送風機口
吸気抗へのアプローチは、
激狭の穴だ。穴の先は急落しているのか、
踊り場なのか慎重な見極めが必要だ。
坑内は狭く真円に近い。
足元も抜ける危険性があり、
坑道以上に緊張を強いられる。
脇抗を抜けると
そこは吸気口だった。
異常な急角度で降下する吸気口。
右手に足場があるが、
その角度は随時、変化する。
足元に留意しながら吸気口を降下する。
レイルも無ければ、階段もない。
下部が不明のため、ゆっくりと歩く。
足元は泥が堆積し、
何より刻々と変化する斜度に、
平衡感覚が麻痺する。
50mほど下るとそこは泥で埋没し、
しかし右に分岐している。
泥の下が空洞の可能性もありこの下には下らない。
RBを曲げただけの梯子状の階段。
あくまでも点検用らしく、
頻繁に昇り降りすることは考慮されていない。
変化する斜度に沿った手摺。
やはり坑道とも斜坑とも、
違う雰囲気だ。
再び坑口に戻る。
谷を越えて、
排気側の煙道に向かう。
谷あいの煙道は黒い斜面の長方断面だ。
淡い角度に見えるが実際は手を使わないと下れない。
突然の滑落に注意しザイルを使用する。
ザイル頼りで降下する。
壁も足元も黒く、
煙道ならではの光景だ。
40m程下るとそこは地底湖だった。
堆積した泥の海の向こうの水深はどうなのだろうか。
想像しただけでも恐ろしい。
壁面からはd6程度の鉄筋が露出する。
気体しか通らない隧道ならではかもしれない。
深い煙道を埋める地底湖。
この先には永久に進めない。
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