天孫降臨の地
天孫降臨の地
邇邇芸命一行が天降ったという伝承地は、諸説があり、古くから
大分県武田市の祖母山、宮崎県高千穂町、九州南部の霧島連峰
の高千穂峰が候補に挙げられていますが、古事記によれば「かれ
ここに、天津日子番能邇邇芸命に詔りたまひて、天の石位離ち、
天の八重たな雲押し分けて、いつのちわきちわきて、天の浮橋に
うきじまり、そりたたして、竺紫の日向の高千穂のくじふるたけに
天降りましき。」と書かれています。
ここを現代語に訳すと「さてそこで、天つ神はヒコホノニニギノ命に
仰せ言を下され、ニニギノ命は高天原の神座をつき離し、天空に
いく重にもたなびく雲を押し分け、神威をもって道をかき分けかき
分けて、途中、天の浮橋から浮島にお立ちになり、筑紫の日向の
霊峰に、天降りになった。」となります。
【注】
○天の石位
高天原の神坐。「石位」は神の鎮座する岩の神坐。
○いつのちわき
「いつ」は激しい神の威力、「ちわき」は「道別き」で道をかき分ける
こと。
○天の浮橋
天と地をつなぐ空想上の梯子。神が天地間を往来する梯子である。
「浮橋」は水上に船を並べて橋としたものをいう。
○うきじまり、そりたたして
書記に「浮渚在平処に立たして」とある。
「うきじまり」は浮島ありの意であるが、「そり」の意は不明。
○高千穂のくじふるたけ
「高千穂」は本来、高く積み上げた稲穂のことで、神霊の降下する所と
考えられた。神話では、高千穂峰は特定の山とされており、伝説地とし
ては、宮崎県西臼杵郡高千穂町と宮崎・鹿児島両県の境の高千穂峰
が名高い。
「くじふる」は「霊異ぶる」の意であろうという。
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