「生き方代 死に方代」
貧しさが育てた 優しさゆえに
時には 立ちすくみ
世を捨て 世に拾われ
骨壷の底に揺られて方代は戻っていた
若いデラシネが一人 「生き方代」を訪ね
異国で道を尋ねるように おずおずと
私の辿るべき道は何れかと聞いたという
過酷な日々に 死にぞこなって
時には しどろもどろになり
不自由な身体が磨いた 鋭い感性が
大勢の友を連れて桃源郷に眠っていた
老いたデラシネが一人 「死に方代」を訪ね
その墓碑銘を眺めながら 不安げに
私の終の栖は何処かと呟いていたという
(2004.04)
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