野良猫との絆を育んでおられる方は、私以外にもたくさんおられると思います。
「地域猫」という言葉はあってもそれは名のみ。実際には近隣の冷たい視線を浴びながら猫たちの世話を続けている方が多いはずです。
一方で「エサさえやれば野良猫は懐く」、そんな偏見を持っている人もかなり多い。
しかし、野良猫と絆を育んだ人ならおわかりと思いますが、エサやりは「きっかけ」になることはあってもそれだけではその猫の心をつなぎとめて互いの信頼関係を築く道具にはなりえません。多くの方はそれを誤解しておられるようです。現に私は空との二年半でエサをあげ始めたのは後半の一年ちょっとに過ぎず、それ以前はネコジャラシだけを介しての付き合いでした。いや、道具よりもエサよりも心が通じるかどうか。それは互いに相手を思いやる気持ちがあるかどうか、それを互いに感じ取るかどうかに尽きるでしょう。何よりもまず相手を「対等なパートナー」だと思うこと。それは自然に猫にも伝わるものです。
そしてこれは動物相手だけではない。人同士の付き合いでも同じではないでしょうか。うわべだけの愛想の良さだけでは「付き合い」は長続きしません。
二年半、空から教えられることもたくさんありました。
いや、猫との本当の付き合い方ということを手ほどきしてくれたのは空だったのでしょう。
今でも初めての場所に野良猫に会いに行っても、なぜか懐いてくれる猫が多いのは空のおかげかもしれません。
今この写真集を編み終えて、空との想い出をようやくきれいな額縁に収められてホッとしています。
もう一度、素敵な時間をたくさんくれた空に、心から感謝したいと思います。
いつか遥かな未来、互いに天寿を全うしたら虹の橋の向こうでまた会おうね。空。
2018年9月 草凪みかん
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