ねこたび日記

2023年11月19日(日) 晴れときどき曇り 
朝9:30。三津浜港。
今日は睦月島に行きます。

いつもなら睦月島に行く時は朝7:10の船に乗るのですが、昨日の夜の天気予報で今日は天気は回復して晴れるものの午前中は風速4~5mの西風が残るとのこと。
この島での撮影の肝は何といっても朝の光を浴びて猫たちが港で遊ぶ姿ですが、それだけ強い風が吹いているとなると朝のうちは猫たちは港に出て来てくれないだろうし。いや私が行けばついてきてくれるかもしれないけど、冷たい風が吹く中を港に連れ出すのはかわいそう。
もともと睦月島には二日間日程を割いているので、朝の撮影会は明日でもいいか、ということで一便遅い船で行くことに。四国到着翌日ということでこっちの体調を整える意味もあって。
この朝の船は高浜には寄港しません。
いつもの朝7時の船は三津浜を出ると高浜に寄港して睦月に向かうんですが、10時の船は高浜ではなく松山観光港に寄港します。一昨年からそうなったようで。
三津浜港は松山市から郊外電車で20分ほどの三津駅から歩いて15分ほど。朝のいい散歩になりました。(^^;
ちなみに睦月までの運賃は高浜からでも三津浜からでも同じです。
船が入ってきました
今日は日曜日ですが、この航路は観光客はほとんど乗りません。忽那諸島を結ぶこの中島汽船を利用するのはほとんど地元の人ですね。
10:10出航。
やはり風が強い…雲が西から東へかなり早く動いて行くのがわかります。

途中松山観光港に寄港して睦月島へ。

10:55、睦月港着。

ご家族に連れられて久々に睦月に帰ってきたという車椅子のおばあちゃん。
幼馴染の方々のお出迎えを受けて嬉しそうでした。
やはり港は風が強い。
小学校に足を向けると、
いました。チャトラーズ♪
ここは西側には家があるから風は来ませんから港とは比べ物にならないくらい暖かい。

みんなマッタリと。ここの子たちは本当に穏やかです。

頭数はほとんど変わってないようですね。でも仔猫は見えない。

写真見て気が付きましたか?
皆さくら耳になっているのを。今年の春はこうじゃなかった。

世話をしているお母さんに話を聞くと、この夏にほとんどの子の避妊去勢を行ったそうです。
「わしらももう若くないから…」
そう、お母さんももう80歳を超えている。この港近くの集落に住んでいるのはほとんどが高齢者。この先仔猫が生まれてもずっと面倒見られるかどうか不安だといいます。そこで決断し、松山のボランティアの方にも協力いただいて避妊去勢に踏み切ったそうです。
「せめて今いる子たちは最後まで面倒をみてあげたいから…」

この春に生まれた仔猫は本土の人が引き取ってくれたそうです。

「みかんの島」として有名な睦月島。しかしこの島でも高齢化は深刻な問題で、後継者がなくみかん栽培をやめてしまう農家が増えています。手入れもされずに荒れ地と化してしまったみかん畑もあるという。本土から人が戻ってくれない限り「睦月島のみかん」が絶えてしまう日も来るかもしれない。島全体が限界集落なんですよね。
だから…猫たちの避妊去勢もやむを得ないのだろうな、と。

もちろん、睦月にはここ以外にも猫たちはいます。
避妊去勢をしたのはこの一角の猫たちだけで浜のほうにいる子たちはまだだとか。でも全体の頭数としてはここが一番多いんですよね。
これはこの島だけの問題ではありません。瀬戸内の島はどこも同じような状態。
佐柳島のように本土から定期的にボランティアの人が来たり、あるいは若い人が戻って来たりするような島はほとんどない。マスコミはそういう面を全然伝えてくれませんね。「猫の楽園」という虚名のみ大々的に唱えて。
お母さんに春の時に撮った写真を渡しました。
「ありがとうね」と受け取ってくれたお母さん、私にみかんをくれました。

「クズみかんで悪いけど…」
「クズみかん」というのは、畑で獲れたみかんの中には傷がついていたりして出荷できないものもあります。そういうのはジュース加工用に回されたりするものもありますが、多くは廃棄となります。でも傷がついているというだけで味は全然変わらない。ご自宅の食用にはこうした「クズみかん」を供するそうで。
もう朝ご飯は済んでいるのですが、お母さんが家に入るのを見て、またゴハンもらえると勘違いした?のか、みんな集結。
玄関の外でニャーニャー鳴いて催促。(^^;

仕方なく?お母さんはエサを持って出てきました。
「お昼にはまだ早いけどね」

学校の校庭へみんなを連れて。ここはクルマも来ないし誰はばかることなくお食事ができる場所。
みんな仲良く???食べてます。(^^;

お母さん、足が悪いんですよね…ここの猫たちの世話をしているのはこのお母さんの他に数人。いずれもご高齢です。
この睦月の小学校、一応「休校」ということになっています。しかしもし若い世代が戻ってこなければいずれは「廃校」ということに…。

ちょっとジャラシで遊んでみました。一番反応してたのはこの子。(^^;

猫が釣れま~す。(^^;

他の子はまだゴハンに気を取られてる子もいるんだけど、この子ははしゃではしゃいで。(^^;

去年生まれの子なんですよね。そういえばまだ仔猫の面影が残ってるような。
「アイツ元気だなぁ」てな顔して見てる子も。食後の休憩でマッタリしてる子も多い。

お母さんの家の玄関前にはこんなノートが吊るされてます。

ここの猫たちに逢いに来た人たちのための思い出ノート。
もし睦月に行くことがあったらぜひ一言残していってくださいね。

またしばらく猫たちと戯れ、ゆっくり写真を撮って…。
集落裏手のみかん畑へ。

今が収穫真っ盛り。島全体が黄色に彩られる時期。

行く畑、行く畑で「すみません、写真撮らせてください」と挨拶していくと、「よかったら食べて~♪」ともぎたてのみかんを渡してくれました。
睦月の方々、本当に優しい方ばかり。
おかげで、水やジュースを買わずに一日過ごせましたよ。
「松山の宿で食べて~」と7~8個入った袋を渡してくれる人も。

浜のほうの集落に出ると、

このあたりの家々にも出荷間近のみかんが。

ここにはかつて伊予絣の行商で栄えたこの島の栄華を物語る長屋門の家が並びます。

そんな家々を眺めながら歩いていくと、とある家の門の前。

白い子がいました。

この家の飼い猫さんかな。この子は避妊去勢されてません。
浜に出て…。

沖を見れば船が通る。朝の強い風もようやく収まってきました。

昔ながらの瀬戸内の家並み。しかし今はこの半数以上が空き家となってしまっています。

初めてこの島を訪れたのは8年前でしたが、その時と比べてもこの浜通りの人の数は減りましたね。人が減れば猫の数も減るのは道理。
以前はあちこちで見た猫たち、すっかり数を減らしていました。この辺は黒い子が多かったんだけど、この日はさっきの白い子以外一匹も見ず。
小学校に戻ります。

歩き疲れていたので、校庭のベンチに腰を下ろすと…。

猫が膝に乗ってきます。(^^;

二匹目。

三匹目。

四匹目。両膝に一匹ずつ。その上に二匹しがみつくように。

ほとんど猫まみれ状態。(^^;
向かいのベンチにも猫たちが集まって。お日様浴びてぽよぽよ。

静かな時間が流れていきます。
もうすぐ帰りの船の時間。じゃあみんな、最後はまた遊ぼうか♪

船が入港する10分前までこの子たちと遊んで港へ。
明日また来るよ!
明日は風も収まって穏やかな一日になるとのこと。朝一便の船で来ることにしましょう。
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