どうして電子はエネルギーを失いながら核に落ちないか? ボーア模型 対 量子力学

♦ トップページ (2電子原子も含む正確な新ボーア模型) ♦

♦ 光子は本当に粒子なの? その正体は?♦

一般の量子力学の教科書には、よくボーアモデル(Bohr model)では電子が円運動しているため電荷の加速度運動により電磁波を放射しながらエネルギーを失い核に落ち込んでしまうので、間違いだとくどいように説明している。しかし本当にそうだろうか?
一方でなぜ量子力学の電子はエネルギーを放射せず安定なのかと問われると、じつは教科書には明確な説明は載っていないのである。

ボーア理論に対するこれらの説明は、はっきりいって不完全である。ボーア模型では電子軌道の長さがちょうどド・ブロイ波長 (de Broglie's wavelength) の整数倍のときに電子の運動は円運動でも安定するというのが正解だ。事実、この条件によってエネルギー準位の間隔を正確に表すことに成功している。
重要なのは、ボーア・ゾンマーフェルト理論 (Bohr-Sommerfeld theory) は従来のマクスウェルの方程式 (Maxwell's equations) に新しいド・ブロイ仮説を追加したものだということだ。最近では3体問題である2電子原子のボーア模型による正確な表現に簡単なコンピュータープログラム計算にて成功した。(最初にトップページをぜひ見てほしい。)

もし、我々がマクスウェルの法則しか使わないとしたら、すべての加速される電子は確かにエネルギーを放射して失っていくだろう。しかし、これにド・ブロイ理論を追加したら、話はまったく違ってくる。
まず最初に言っておきたいことは、1913年以降、マクスウェルの法則のみを使用した原子模型というものは存在しないということだ。 事実、マクルウェル方程式だけでは、電子の2重スリット (two-slit) の実験や Davisson-Germer の電子の干渉実験を説明できない。

また、1920年代前半、物理学者達は、三体問題であるヘリウムをボーア・ゾンマーフェルト模型で表そうと必死だった
これはまぎれもない事実である。もちろん、マクスウェル方程式は、これよりももっと以前からあった
当時の物理学者達がマクスウェル方程式を理解できなかったはずはない。
仮に、上記の加速する電荷の問題がボーア模型の否定の原因だったとしたら、そもそも、ヘリウムまで必死に考えるまでもなく、最初からあきらめていたはずである
要するに、上記の加速する電荷が電磁波を放出するという理由は、後に量子力学をより正当化するために作られたものだったのである。

さて、話を戻して、肝心の量子力学では電子はどうしてエネルギーを失わず安定しているのだろうか?
すでに述べたように、実は明確な理由はあまり教科書には書かれていないのだ。曖昧な表現で、電子は"電子雲として"シュレディンガー方程式の確率密度に従って核の周囲にぼうっと静止しているので、加速度運動はしていないためとしている。
しかし本当にそれでいいんだろうか?

もし、量子力学における原子中の電子が実際に静止しているとしたら、次のような現象の説明がつかなくなる。
例えば、水素原子のエネルギー準位の計算のとき、原子核の重さを無限大でなく、ちゃんと陽子の質量を用いて電子の換算質量を計算すると、エネルギー準位の計算結果がかなり正確なものになることがわかっている。換算質量の計算方法を見ればわかると思うが、これは原子核と電子が両方とも原子全体の重心の周りを円運動(もしくはバネ振動)していることを示している。つまり、電子は実際は動いて(しかも加速度運動)していることになる。

また、一般の教科書には2電子原子の電子では、スピンアップとダウンの電子が互いの磁気モーメントを打ち消しあってゼロになると、さも当然のように述べている。しかし、正確には二つの電子はクーロン反発力で離れているため(くっつくのは不可能!)、ほとんどの空間では打ち消されずに磁場が残っていることになるのではないか!? とすると、もし2つの電子がそれを打ち消すために動き回らなければ、磁場はゼロにならないという矛盾がうまれてしまう。

また、電子は速度が増すと相対論的質量が増し、それに伴い特に重い原子では相対論的補正をしないとシュレディンガー方程式の計算結果と大きくずれてくることがわかっている。これもまた、電子が静止しながらにして 相対論的質量が重くなることがあるのか!?
つまり、量子力学では相対論的量子力学との間に自己矛盾を含んでいるのである。

最後に、ボーア模型はどうだろうかというと、トップページを見てもらうと分かるがまったく自己矛盾を含まずにエネルギー計算を正確にできることがわかる。
加速する単一電子はエネルギー放射しない も参照のこと。
もし、放射される電磁波(もしくは光子)を考慮するとき、我々はとても小さな電子だけでなくその周囲の同調しているド・ブロイ波も考慮しなければならない。量子化されたド・ブロイ波は光電効果など、従来、光子という粒子でないと説明できないとされている現象を電磁波という波の性質で説明できることを可能にしている。
詳しくは、上の 光子は本当に粒子なの? その正体は? を見てほしい。

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2010/3/14 updated This site is link free.