心臓病治癒の体験(その1)

カヨちゃんと初めて出会ったのは彼女が17歳(高校2年)の夏休みだった。
私が人の痛みを身体で感じ始めて、まだ日も浅い頃のことです。

只、訳も判らないままに、ひたすらに歩み始めた。
こういうの猪突猛進って言うのかな?と思ったりする
まるで何かに突き動かされるかのように…、
あるのは「人の為に…」というただ一心の想いのみ
その思いにかきたてられるかのごとく、
「どうすれば…?」
手探りのままに、直感のままに、書物を読み漁り…
未知の世界を模索する日々が、続いていた頃のことです。

パートのエミ子さんが出勤してくると…
「グァルルルゥーッ」と音を立ててゲップが出始める。
特に金曜日はひどく出続ける、爆音が鳴り続く…
因みに…この現象の理由は?
「人のために御遣いください」と祈った事に起因するのです。
人が溜めている(病の原因の気)を吸収消化する作用なのです。
「ね〜、どうして…?なぜ…?私は何を持ってきたんだろう?」
エミ子さんは疑問を投げかけてきます。
ところがどっこい、何しろマダマダ若葉マーク!
身体は反応すれど、答えは闇の中…???

「昨日帰るときは、クリーンにして帰したのにね〜」
「誰から運んで来たんだろうね〜、帰ってから誰と会ったの?」
と、二人共同で手探りの探索が始まるのです。

木曜日は、エミ子さんのお花のお稽古の日です。
お花のお稽古でご一緒の方の名前を一人ずつ挙げていく、すると…
Tさんの名前が挙がると、心臓が痛いっ!苦しい!のです。
「その人、心臓が悪くなるよ、連れてきてあげた方がいいよ」

おいおい、君はどうやって治すつもりなんだい…?
そんな無責任な事を口にしていいのかい?って感じですが、
(ま〜なんとかなるさ、未然に防いであげた方がいい)
(そのほうが絶対にいい!)と心がつぶやく…
取り合えず、苦しさの原因は吸い取ってあげられる訳だしぃ〜…
なんとかなる!(やってみるっきゃない!)
結構、おおまかなんだな〜
場合によっては…いい加減という
これは取り様によっては、好い加減とも言える?
しかし…エミ子さんにしてみれば、そのTさんに対して…
「一体、なんていうのよ、どう言えばいいのよ〜ぉ?」
困りますよね〜確かに…

ま、そこは色々と案を練って、伝えてもらいました。
しかし、いきなりそんなこと言われても…、変なだよね〜
「うん、ありがとう、でもね、ちょっと…いいわ」
と、当然の如く断わられてしまいました。

でもでも…また金曜日がくると…私の身体の反応は続きます。
エミ子さんが出勤してくるなり、
「グァルルル〜ッ」と、出続ける。
そこでもう一度、Tさんの話に行き着きます。
すると或る日の事…
実は、Tさんの次女カヨちゃん(仮名)がもう既に心臓が悪いんだって…、
そして、F大学病院で治療中なのだと言われたそうなんです。
若葉マークの風さんも、エミ子さんもビックリ!
「ええ〜っ、あたってたんだ〜?!」てな感じです。

なんだかんだと断わられていたけれど…、やがてTさん親子はやってきた。
カヨちゃんに始めて会った時、彼女の顔には…
「不満がいっぱいあります。」
そう書いてありました、えっ…?でも書いてあったんです。
だから最初は不満の心を切り替えることから、話し始めました。

後で解ったことなのですが、カヨちゃんはちょうどその頃、
モルモットのように扱われる病院の治療に対して…
不満がいっぱいになっていた頃だったらしいのです。
次から次へのたくさんの投薬治療にうんざりしていたそうなのです。
だから逆に良かったようです。
「災い転じて福となす」ってところですね。

これも、出会いから一年半後に知ったのですが…
大学病院の診断は、心臓に奇形があるから、
よく生きれて、三年の命と言われていたそうなのです。
そして若干17歳の彼女に突きつけられたものは…
「特殊な内臓だから、研究の為に保存しておきたい」と…
「あなたの心臓がほしい」とね、
そ、それはどうなの本当に…?
死後、身体の一部を保存する為には、本人の承諾とサインが必要なんですね。
だから…言われたんです。
「臓器提供の同意書にサインをして欲しい」と・・・

たまりませんねぇ〜、17歳です!花の女子高生です!
その命よく持って三年だから…
あんたの内臓くれよって言われたようなもんだからね〜
因みに、彼女と出会って早十年です、まだちゃんと生きているんです。
しかも元気に!三年の命の予定はどこへ行ったの〜ぉ??